小田原市議会 > 2021-06-17 >
06月17日-04号

  • "避難所運営委員会"(/)
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  1. 小田原市議会 2021-06-17
    06月17日-04号


    取得元: 小田原市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-03
    令和 3年  6月 定例会         令和3年          小田原市議会6月定例会会議録(第4日)令和3年6月17日-----------------------------------出席議員(27名)         1番     安野裕子議員         2番     鈴木敦子議員         3番     川久保昌彦議員         4番     角田真美議員         5番     荒井信一議員         6番     金崎 達議員         7番     宮原元紀議員         8番     池田彩乃議員         9番     大川 裕議員        10番     鈴木和宏議員        11番     鈴木美伸議員        12番     杉山三郎議員        13番     鈴木紀雄議員        14番     木村正彦議員        15番     奥山孝二郎議員        16番     楊 隆子議員        17番     神戸秀典議員        18番     篠原 弘議員        19番     井上昌彦議員        20番     加藤仁司議員        21番     武松 忠議員        22番     俵 鋼太郎議員        23番     清水隆男議員        24番     小谷英次郎議員        25番     岩田泰明議員        26番     田中利恵子議員        27番     横田英司議員-----------------------------------説明のため出席した者  市長            守屋輝彦君  副市長           鳥海義文君  副市長           玉木真人君  教育長           柳下正祐君  理事・企画部長       安藤圭太君  理事・技監・建設部長    小澤千香良君  理事・教育部長       北村洋子君  未来創造・デジタル化推進担当部長                杉本錦也君  総務部長          石川幸彦君  防災部長          韮澤浩一君  文化部長          鈴木裕一君  環境部長          藤澤隆則君  福祉健康部長        中津川英二君  子ども青少年部長      杉崎 智君  経済部長          武井好博君  都市部長          石塚省二君  病院再整備担当局長     狩野雅幸君  総務課長          阿部祐之君  財政課長          福井康文君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長          向笠勝彦  副事務局長         室伏正彦  議事調査担当課長      有泉三裕紀  副課長           高橋洋子  総務係長          城所淳子  主任            城戸寿之----------------------------------- ○議長(大川裕君) ただいまから昨日に引き続きまして小田原市議会6月定例会を開きます。     午前10時0分 開議 ○議長(大川裕君) 本日の出席議員は全員であります。定足数に達しておりますので、これより直ちに本日の会議を開きます。----------------------------------- ○議長(大川裕君) 昨日に引き続きまして一般質問を行います。 この際、申し上げます。一般質問の質問時間につきましては、通常、「質問者1人について答弁を含めず40分以内」としておりますが、6月定例会におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、特例として「質問者1人について答弁を含めず30分以内」といたします。 また、一般質問時のみ、会議継続の要件である議員の定足数を確保できる範囲内で、議場に入る議員の人数を減員いたしますので、ここで退席をお願いします。     〔退席予定議員退席〕 ○議長(大川裕君) それでは、発言者を指名いたします。 6番金崎議員、登壇願います。     〔6番(金崎 達君)登壇 拍手〕 ◆6番(金崎達君) おはようございます。通告に従い順次質問をさせていただきます。 初めに、大項目の1、在宅ケア推進による家族介護者等のケアラー支援について。 (1)として、おだわら高齢者福祉介護計画における、これまでの家族介護者等のケアラー支援の位置づけと取組について伺ってまいります。 ケアラーという言葉自体、これまでなじみがなかった用語でありますが、一般社団法人日本ケアラー連盟において、家族や知人の介護、看病などのケアを無償で行うケアラー、その中でも18歳未満で病気や要介護の家族をケアしているヤングケアラー、子育てと親の介護を同時にこなすダブルケアラーなど、多様な状況で様々なケアをされている方々のことであります。疲労感を抱え、人生設計に悩みながらも、ケアする日常が当たり前過ぎて、自分がケアラーだと気づかず助けを求められない人も多いという実態も新聞各紙で取り上げられるようになりました。ケアラーと言われる、家族などの介護を無償で行っている人たちへの支援はいかにあるべきかを検討し、リスクの高いケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげていくことが、昨今求められております。 さて、一昨年の10月、祖母と同居で二人暮らしをしていた22歳の孫である女性が、祖母を殺害するという痛ましい事件があり、昨年の9月に判決がありました。新聞の報道によれば、祖母はアルツハイマー型の認知症を患っており、排せつなどの身の回りのことが一人でできない要介護者でした。介護は孫の女性が一人で行うこととなり、幼稚園教諭として勤め始めて1か月後でしたが、祖母との同居が始まりました。同居して2週間後で、「介護は無理かもしれない」と親族に伝えますが変わらず、事件が起きたのはそんな生活が5か月続いたときのことです。 裁判では、女性が祖母の介護を始めて3か月目には、疲労や重度のストレスから腎臓が悪化し、重度の貧血になったことや、軽い鬱病との診断を受けたことも明らかになりました。判決は懲役3年、執行猶予5年でした。裁判長からは、「介護による睡眠不足や仕事のストレスで心身ともに疲弊し、強く非難できない」との結論づけがありました。 介護に詳しい淑徳大学の結城康博教授は、「周囲が女性を追い込んでいる。ケアマネジャーは、あくまで『祖母の介護をどうするか』の視点で考えるので、女性のことを考える人は誰もいなかっただろう」と述べています。 同じような事件は、昨年の新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下においても、5月に埼玉県で26歳の娘が60歳の母を殺害するということが起きています。「母の介護に疲れた」と。このような事件が毎年のように起きています。 ケアラーの実態はどうなっているのか、公的な調査はありませんが、介護を理由とする痛ましい事件を起こさせないためにも介護するケアラーへの支援が必要であり、特に鬱など心が不調であるケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげること、また、社会から孤立することなく、本人が尊厳を保ちながら無理なく介護を行うようすべきであり、そのためにケアラー支援の制度・仕組みの構築、そして法的基盤の整備が喫緊の課題であります。 そこで、1点目に、家族介護者等のケアラーの実態について、本市はどのように把握しているのか伺います。 2点目に、改めて本年3月に策定された第8期おだわら高齢者福祉介護計画におけるケアラーに対する支援の位置づけをどのように考えておられるのか、基本的な考え方をお伺いします。 3点目に、これまでの家族介護者等のケアラーの支援について、どのように取り組んでこられたのか、その内容と成果についてお伺いします。 次に、(2)として、今後の家族介護者等のケアラー支援の取組について、順次伺います。 ケアラー支援ということでは、そもそも2000年に発足した介護保険制度の一つの目的もそこにあったものと思います。それまで日本の福祉は、家族による支えを柱とする日本型福祉社会論という考え方が主流でした。1978年版の厚生白書にて、同居家族を「福祉の含み資産」として表現したことはその象徴でもあります。そのような中、介護保険制度は、家族介護から介護の社会化へ、まさに価値観の転換を目指して制定されたわけですが、つくる当初、二つの大きな柱があったものと理解をしております。 一つは、介護を必要とする高齢者のための制度であり、制度全体を貫く理念として、「高齢者の自立支援」であります。もう一つが、同居する家族の介護負担を少なくすること、つまり理念を支える「在宅ケアの推進」であります。しかし、どういうわけか、こちらのほうは介護保険法の総則に書かれることはありませんでした。 ここに来て、ようやく国はケアラー支援について、介護離職問題等を契機に、介護に取り組む家族等への支援の充実を取り上げるようになってきております。 本市の高齢者福祉介護計画におけるケアラー支援については、地域に身近な総合相談窓口として設置されている地域包括支援センターによる支援をはじめとして、適切なケアプランによる介護サービスの活用、地域住民の理解と協力の促進、個別ケア会議における多職種による検討など、様々な関係機関との連携を図りながら支援を図っているところであり、また、家族介護教室では介護者の実践に役立つよう講義内容を充実し、介護負担の軽減に努めるとともに、動画配信等を行い参加人数の増加を進めているところと伺っております。関係者、従事者の皆様には感謝申し上げる次第でございます。 そこで、1点目に、今後のケアラー支援の促進について、今後の実態調査についてどのように考えておられるのかお伺いします。 2点目に、自ら手を上げてカウンセリングや家族会などに参加できる人はいいのですが、問題は一人で悩み、我慢しているケアラーです。特に、精神的に鬱にあるようなリスクの高いケアラーをどのように考えておられるのかお伺いします。 3点目に、支援が必要なケアラーを、どのような適切な支援につなげていくのか、本市の今後のケアラー支援の促進について所見をお伺いします。 次に、(3)として、本市におけるヤングケアラーの認識と実態について伺います。 ヤングケアラーについては、ケアラー同様にこれまであまり耳慣れない用語であります。法令上の定義はありません。一般的に、家族にケアを要する人がいる場合、本来、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子供を言うのが一般的であります。取組が先行している自治体の中には、18歳までの子供に加え、若年者も対象としている自治体もあるようです。 本年4月のNHKのニュースで、家庭で両親や祖父母、きょうだいの世話や介護などをしている子供はヤングケアラーと呼ばれ、厚生労働省、文部科学省は、昨年12月から本年1月にかけて初めて実態調査を行い、その割合が中学生のおよそ17人に1人に上ることが報道されていたことは記憶に新しいところであります。 公立中学校1000校と全日制の高校350校を抽出して、2年生にインターネットでアンケートを行い、合わせておよそ1万3000人から回答を得ております。 ケアの内容は、食事の準備や洗濯などの家事が多く、ほかにもきょうだいを保育園に送迎したり、祖父母の介護や見守りをしたりと多岐にわたっております。世話にかけている時間は、平日1日の平均で、中学生が4時間、高校生は3.8時間、1日に7時間以上を世話に費やしている生徒は1割を超えていました。 近年、ケアラーのケア(介護者支援)に注目が集まる中で、その一つの側面であるヤングケアラーも注目されるようになってきました。2010年には一般社団法人日本ケアラー連盟が設立され、実態調査や各種調査などが行われるなど、活動も進み出しております。 ここで取り上げるヤングケアラーとは、ケアがお手伝いの範囲は除き、負担が大きく学校に行けなかったり、友人関係の行き詰まりや、就職機会の喪失といった深刻な問題に発展するケースが指摘されているものであります。 そこで、1点目に、本市はヤングケアラーの存在について、いつごろから認識していたのか伺います。 2点目に、本市におけるヤングケアラーの実態について伺います。これまでの実態調査について、ヤングケアラーの現状についてどのように捉えているのか、本市の所見を伺います。 続いて、(4)として、本市のヤングケアラーへの取組について伺います。 ヤングケアラーについては、本人自身が自身の状況を普通だと思っていることも多く、ヤングケアラーだということに気づかなかったり、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまいがちな状況も見逃せません。誰かに相談したくても、昔に比べて頼れる親類が少ない現状もあります。悩んでいる子供たちの声なき声をキャッチし、希望を届けるために、横断的なチームで当事者に寄り添った支援が求められます。 そこで、1点目に、表面化しにくいヤングケアラーの早期発見・把握の促進について、どのように考えているのか、本市の所見を伺います。 2点目に、学校、福祉、医療、介護、地域の民間団体といった周囲の大人が、ヤングケアラーについて理解を深め、家庭において子供が担っている家事や家族のケアの負担に気づけるよう、ヤングケアラー社会的認知度向上が、支援促進につながっていくものと考えます。さらに、子供自身の、ヤングケアラーの適切な認知度向上も求められるところと認識しておりますが、子供の認知度及び社会的認知度の向上について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、大項目2、長期化するコロナ禍の市内事業者への支援について。 (1)として、本市のまん延防止等重点措置追加による市内経済等の影響について伺ってまいります。 先月28日に、神奈川県は新型コロナウイルス対策本部会議を開き、6月1日から県内の平塚市、秦野市、本市の3市をまん延防止等重点措置の対象の地域に加えることを決定。県内では4月20日に、横浜市、川崎市、相模原市を対象に重点措置が始まり、4月28日と5月12日には地域を順次拡大。17市町が対象となっておりましたが、それでも新規感染者数は高止まり、28日の会議で平塚市、秦野市、本市の3市を新たに対象に加えることが決められ、現在に至っております。 全国的にも本年4月から5月、緊急事態宣言下の経済損失は1兆7600億円、失業者を7万人増加させる計算になると野村総合研究所でも言われております。 対象地域の飲食店には、午後8時までの時短要請と酒類の提供停止を引き続き要請することとされ、応じた場合の協力金はあるものの、昨年の緊急事態宣言から1年2か月が経過し、地元事業者の資本体力が奪われていることは想像に難くありません。 先月から、本市においても高齢者のワクチン接種予約が開始となり、アフターコロナ、脱コロナへの一筋の光が見えてきたところであります。ワクチン接種開始を機に、アフターコロナへの経済の正常化に向け、改めて足元の経済、産業の動向と見通しについて、分析や今後の重要となる政策課題について、整理していく必要があると思うところであります。 そこで伺いますが、1点目に、長期化するコロナ禍における本市の地域経済の状況について、本市はどのように分析されているのかお伺いいたします。 2点目に、昨年4月の緊急事態宣言発出から今回のまん延防止等重点措置の追加までの、本市の事業者の事業継続と雇用の維持の取組について、確認をさせていただきたいと存じます。その支援施策と成果についてお伺いいたします。 3点目に、6月1日からのまん延防止等重点措置追加の地元経済に対する影響について、1年以上にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いに、資本力の弱い事業者の体力が落ちてきているところへの当該措置の追加の影響について、本市はどのように分析されているのか、御所見をお伺いします。 続いて、(2)として、アフターコロナを見据えた今後の地元経済・産業の動向と見通しについて伺ってまいります。 この1年超にわたる長い新型コロナウイルス感染症との闘いにおいて、全国的にワクチン接種が進む中、アフターコロナが現実味を帯びてきております。そこで伺います。アフターコロナを見据えた新しい日常「ニューノーマル」に対する新たな産業や事業転換、雇用の創出、事業継続、雇用維持等へ向け、本市の地元経済・産業の動向と見通しについてどのように考えておられるのかお伺いいたします。 以上で登壇での質問を終わります。 ○議長(大川裕君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 6番金崎議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、おだわら高齢者福祉介護計画におけるケアラーの実態把握について質問がございました。本市では、計画の策定に合わせて3年に1回実施する在宅介護実態調査の中で、ケアラーの実態把握に努めております。この調査は、介護認定の更新時期を迎える在宅の要支援・要介護認定者の訪問調査に合わせて実施するもので、介護サービスの利用状況や介護者の不安等を、調査員が直接聞き取っているものです。 次に、第8期おだわら高齢者福祉介護計画におけるケアラーに対する支援の位置づけについて質問がございました。本計画では、ケアラーを、働きながらの介護負担やそれに伴う介護離職、精神的・経済的な負担等を軽減する必要がある支援の対象としております。在宅介護実態調査の結果からは、認知症状への対応や夜間の排せつに関する不安が多いことが明らかとなっており、本計画では、これらの不安を軽減し、ケアラーが過度な負担を抱え込むことのないよう、支援の充実を図ることとしております。 次に、ケアラー支援の取組と成果について質問がございました。本市では、介護の基礎知識や技術を学んだり介護者同士の交流を図る家族介護教室開催事業や、寝たきり等の高齢者を介護する家族に紙おむつを支給する家族介護用品支給事業、行方不明者を早期に保護するための認知症等高齢者SOSネットワーク事業など、各種事業を実施しております。令和2年度までの過去3年間で、家族介護教室に延べ495人が参加したほか、家族介護用品支給事業では延べ1292人におむつを支給、認知症等高齢者SOSネットワーク事業に172人が新規登録するなど、いずれの事業も一定の成果があったと捉えております。 次に、ケアラー支援のための今後の実態調査について質問がございました。高齢者を介護するケアラーの実態につきましては、第9期おだわら高齢者福祉介護計画の策定に合わせて実施する在宅介護実態調査で把握することになります。調査に当たりましては、調査結果がより効果的なケアラー支援につながるよう、ケアラーが抱えている不安や課題、ケアラー自身の身体や生活への影響など、支援の必要性についてしっかりと把握してまいります。 次に、リスクの高いケアラーに関する認識について質問がございました。介護負担を抱え込み、精神的に疲弊しているケアラーにつきましては、様々な支援の手が十分に行き届かず、孤立し、健康状態が悪化するおそれがあると認識しております。市はもとより、市民や事業者、関係機関等の多様な主体が相互に連携を図りながら、リスクの高いケアラーを見つけ、支援につなげていくことが必要と考えます。 次に、今後のケアラー支援の促進について質問がございました。高齢者を介護するケアラーに対しまして、地域包括支援センターを軸としながら、医療・介護等の多職種や関係機関がケアラー支援の視点を共有し、個別の課題に対応できるよう連携を強化してまいります。また、本市が行う事業につきましては、ケアラーのニーズを踏まえ、内容や実施方法等を見直すとともに、ケアラーが抱える課題に的確に対応できるよう、支援の在り方を研究してまいります。 次に、ヤングケアラーの認識と実態について質問がございました。ヤングケアラーに関する相談は、これまでも介護を必要とする当事者が抱える課題として各機関が相談を受けており、一つの機関で対応が難しい場合は、複数の相談機関が連携して支援をしております。本市では、ヤングケアラーに特化した実態調査は行っておりませんが、このような相談の状況から、国と同様、一定数のヤングケアラーがいるものと認識しております。 次に、ヤングケアラーの早期発見について質問がございました。ヤングケアラーの問題は表面化しにくく、潜在化しがちであり、子供らしい暮らしが奪われることのないよう、早期に発見し支援を行っていくことが大切であると認識しております。そのためには、まずは支援者がヤングケアラーを意識した、家族全体を支援する視点を持つことが、早期発見と把握につながるものと考えております。 次に、ヤングケアラーの社会的認知度等について質問がございました。令和2年度の調査では、中高生の8割以上が、ヤングケアラーという言葉自体を聞いたことがないと回答しており、当人やその家族に自覚がないと、必要な支援につなぐことができなくなるおそれがございます。このため国は、令和4年度から3年間を、ヤングケアラー認知度向上の集中取組期間とし、広報媒体の作成など様々な手法により、中高生の認知度向上を目指すとしております。本市におきましても、ヤングケアラーへの理解が深まるよう、様々な相談機関に対し、研修会などの機会を捉え周知するとともに、国の事業を促進するなどして認知度の向上に努めてまいります。 次に、コロナ禍における地域経済の状況について質問がございました。市内の経済団体によりますと、令和2年度の倒産・廃業数はここ数年と比べて少なく、約20件というところでございます。これは、コロナ禍で用意された融資制度を活用する事業者が多く、一時的に手元資金が増えたためと推測されております。しかしながら、本市が開設している経営相談窓口にも多くの方が来庁し、様々な相談が寄せられていることなどから、厳しい状態はしばらく続くものと考えております。 次に、市内事業者の支援策とその成果について質問がございました。本市では、事業者の事業継続と雇用の維持を図るため、経営相談窓口の設置や特別融資の創設、支援金の交付、おだわら梅丸商品券の発行など、感染拡大の状況に応じて、順次支援策を実施してまいりました。現在も、1月の緊急事態宣言の再発出により影響を受けた市内事業者のうち、国及び県の支援対象とならない方に対する市独自の支援金の申請を、今月末まで受け付けております。これらの施策に関しまして、事業者からは感謝の声が寄せられ、また商品券事業では9億円余りが市内で消費されるなど、事業継続や雇用維持の一助になったものと考えております。 次に、まん延防止等重点措置による市内経済への影響について質問がございました。酒類の提供停止や営業時間の短縮などの影響を受ける市内飲食店の中には、収支の面から休業を選ぶ店舗もあると承知しております。大きな制約を受ける状況が続く中、対象区域の追加指定により、一層厳しさを増しているものと認識しているところでございます。コロナ禍の先行きが見通せない中で、今後、固定費や借入金の返済等が大きな負担となるため、引き続き事業者の声をよく聞きながら、必要な対策を講じてまいります。 次に、アフターコロナを見据えた地域経済・産業の動向について質問がございました。コロナ禍において、テレワークの普及や本社機能の地方移転など、都心から離れた場所でのオフィス環境の需要が高まっております。本市では、新たな雇用機会の創出や市内企業との連携による地域産業の成長などを目的に、サテライトオフィス誘致に取り組み始めております。都心の企業等に小田原市の魅力を発信し、誘致につなげることで、交流人口・関係人口の増加や新しい産業の創出など、地域経済の活性化につなげてまいります。 以上をもちまして、6番金崎議員の質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆6番(金崎達君) 一定の御答弁をいただきました。御答弁を受けて順次再質問をさせていただきます。 まず初めに、ケアラーのほうについて再質問します。登壇でも触れましたけれども、ケアラーについては法制度的な位置づけについて、なかなか明確でないというところが、支援の遅れにつながっているというふうにも考えておりますけれども、本市の考えについて伺います。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) ケアラーの制度上の位置づけと支援の関係についての御質問でございました。介護保険法では、家族介護者の負担軽減に関する理念は、総則として明文化されておりませんが、例えば居宅介護支援については、家族の希望等を勘案してケアプランを作成することが定義されており、その趣旨に即した的確なケアマネジメントが行われております。また、同法に基づく地域支援事業として、本市ではおだわら高齢者福祉介護計画に家族介護者支援事業を位置づけ、継続的に事業を実施しており、適切なケアラー支援につながっていると考えます。今後も、国や県のケアラー支援の動向を注視し、より的確な支援策を講じてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) 具体的に現場の方で対応していただいているというふうな御答弁と受け止めました。しかしながら、本当に、今後持続的にケアラーの支援をしていくためには、ある程度の法制度的な位置づけというものは必要なのかなというふうにも考えております。それを国の法律でできないのであれば、基礎自治体のほうの条例等で担保していくということも検討される必要もあるのかなというふうにも考えております。ぜひ御検討のほうをお願いいたします。要望といたします。 続いて、ケアの現場は、介護保険法が制定されました20年以上前と比べて、今は老老介護ですとか8050問題、ダブルケア等々、ケアに関する複雑な問題が一層表面化している時代に入ってまいりました。様々な社会問題と直面している家族介護者等のケアラー支援を充実していくべきと考えますが、本市の所見を伺います。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) 社会問題に直面するケアラーへの支援についての御質問でございました。地域福祉においては、複合的な課題の増加を踏まえ、支援者がケアラーに寄り添ってきめ細やかな支援を継続的に行う、いわゆる伴走型の相談支援体制が必要であると認識しております。本市においては、令和2年度から地域における福祉相談支援を新たに開始し、当事者に寄り添った支援の充実を図っております。今後は、本市と福祉に関わる様々な機関や団体との連携体制を強化し、包括的な相談支援の拡充に努めることにより、ケアラーが孤立することのない、誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現を目指してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ありがとうございます。 伴走型と、今御答弁いただきましたけれども、本当に自ら手を上げてカウンセリングや家族会などに参加できる人は、まだ支援が届くかなというふうにも思います。問題は、一人で悩みを抱えて我慢しているケアラーであります。特に、精神的に鬱にあるようなリスクの高いケアラーを探し出し、支援につなげていくことが必要かと考えますけれども、本市の早期発見・把握から支援について、どのように取り組んでおられるのか、具体的な体制と取組について伺います。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) リスクの高いケアラーの把握や支援体制等についての御質問でございました。高齢者やその家族の支援に関わる地域包括支援センターの職員やケアマネジャーは、個別の支援を行う中で、ケアラーの変化を的確に捉え、必要な支援につなげております。また、民生委員や地区社会福祉協議会等の地域の団体では、日頃から支援が必要な方への見守り活動を行い、顔の見える関係を築いております。本市では、このような地域の団体との連携により、支援が必要な方の把握と関係機関との情報共有を図るなど、関係者の間の連携ネットワークの構築に努めております。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ありがとうございます。 見守り、また顔の見える支援ということで、ケアラーを孤独にさせないことは、ケアラー支援において求められるところであるというふうにも認識しておりますけれども、ケアラーが支援機関の担当者と日常からつながっていくことは、私も何よりも大切だと考えております。アウトリーチによるつながりをつくるためにも、例えばアセスメントシートやケアラー手帳の活用は、ケアラー支援促進につながっていくものと考えますが、本市の所見を伺います。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) アセスメントシートやケアラー手帳の活用についての御質問でございました。アセスメントシートは民間の支援団体が作成したもので、相談支援者が介護者の状況を把握し、整理することを目的としております。シートは公表されており、本市の地域包括支援センター等においても、このような帳票を参考にしながら相談に応じております。ケアラー手帳も民間の支援団体が作成したもので、介護者が自身の介護負担と向き合うことを目的としております。手帳は、ケアラーが自身の心や身体の健康に向き合うきっかけとなり、意義があるものと捉えております。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ぜひ、アセスメントシート、ケアラー手帳については活用のほどお願いをしたいと思います。 介護しているケアラーも大切な一人であると、多くの人に理解をしてもらうことが、早期発見・把握、支援促進にも寄与していくものと認識しております。また、ケアラー本人にも、自身が大切な一人であるということを知っていただくとともに、地域の方にも理解してもらうことは、地域でケアラーを支えることにつながっていくものと考えておりますけれども、さらに事業者の方にも理解してもらうことは、介護離職をなくすことにもつながっていくと考えますが、本市はこの周知と啓発について、どのように考えているのかお伺いいたします。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) ケアラー支援のための周知と啓発についての御質問でございました。社会全体でケアラーを支えていくためには、市民をはじめ事業者や関係機関等の様々な立場の人に、ケアラーが直面している状況や支援方法等を理解し、知識を深めていただくことが必要であります。そのためには、積極的な広報活動や啓発活動を行うことが肝要と考えます。なお、今年度は家族介護者へのワンポイント知識を「広報小田原」に連載するなど、幅広い世代に情報を発信しております。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ぜひとも様々な分野の方に知ってもらうことが非常に大事と思っております。また、特に本人に、やはり大切な一人であるということを自覚してもらうことが非常に大事かなというふうに思います。そういった機会をまた増やしていただければというふうに思っております。 続いて、ヤングケアラーについて伺いますけれども、登壇でも述べましたが、ヤングケアラーは支援が必要であっても表面化しにくい。本人ですら気づかない場合もあります。早期発見・把握においては、学校現場における取組が必要と考えます。そこで、何よりも学校に対する周知が重要と考えますが、どのように周知していくのか伺います。 ◎理事・教育部長(北村洋子君) 学校へのヤングケアラーの周知について御質問がございました。ヤングケアラーの問題は、本人の育ちや教育に影響がありますことから、早期に発見し、支援につなげることが必要であると考えております。学校は、教職員が児童・生徒と接触する時間が長く、日々の変化に気づきやすいことで早期発見が期待できますことから、教育委員会では、教職員全員がヤングケアラーの概念を理解するための情報を提供し、周知を図っているところでございます。今後は、指導主事等による学校訪問や研修等の機会を通じて、国等の情報を提供するなどして、さらなる周知を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
    ◆6番(金崎達君) ヤングケアラーの早期発見、また支援につなげていくという学校の先生方、教職員の方々の支援が本当に重要と考えております。その上で、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを活用した学校での早期発見・把握の取組と多様化する支援に結びつけていくことは、非常に重要なことだと思っております。しかしながら、学校現場におきましては、教職員の多忙は極まっていると伺っております。学校のヤングケアラーへの対応を、教育委員会としてどのように支援していくのかお伺いいたします。 ◎理事・教育部長(北村洋子君) 学校のヤングケアラーへの対応の支援についてのお尋ねでございます。ヤングケアラーのように、学校だけでは解決が難しい問題を抱えた児童・生徒への支援につきましては、日頃から教育委員会へ報告するよう周知をしているところでございます。教育委員会では、学校とその情報を共有し、問題の解決に向けてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣などの調整を図り、適切な支援につなげられるよう努めております。また、解決が難しい問題を学校だけで抱え込むことのないように、福祉の専門機関の様々な情報を学校に提供するなど、日頃から学校をサポートしているところでございます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ありがとうございます。各機関とも連携をしていただきながら、きめ細かに学校現場の支援のほうもお願いをしたいと思います。 続いて、福祉事業者や地域の民生委員の方、また子ども食堂、学習支援等、地域でヤングケアラーを把握する、地域全体で見守っていく取組について必要かと考えますけれども、これについての所見を伺います。 ◎子ども青少年部長(杉崎智君) 福祉事業者等のヤングケアラー把握のための取組についてのお尋ねでございます。市民が、介護保険や障がい福祉サービスを利用している場合には、直接、相談相手となります施設側の職員はケアマネジャーなどとなりますが、ヤングケアラーを早期に把握するためには、窓口となります職員の意識の向上がこれまで以上に求められていくことになります。そこで、福祉事業者の研修会などにおきまして、ヤングケアラーへの視点を持って相談支援を行うことや、民生委員児童委員等に対しましても、国の集中取組期間に合わせまして、広報媒体の配布などにより認知度を向上させ、ヤングケアラーの早期の把握に努めていく考えでございます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ありがとうございます。 ヤングケアラーにつきまして、様々な福祉サービスが関わってきますと、福祉サービス等の運用について、子供が家族介護者であった場合に介護力に加えないなど、配慮が必要というふうに考えますけれども、本市のお考えをお伺いいたします。 ◎福祉健康部長(中津川英二君) 福祉サービス等の運用におけるヤングケアラーへの配慮についての御質問でありました。福祉サービス等の運用に当たり、子供が主たる介護者となっている世帯では、子供は介護力とは捉えず、サービスの内容や量を決める上で配慮されるべき対象であると考えます。介護保険法では、家族の希望等を勘案してケアプランを作成することが定義されており、ヤングケアラーに対しても一定の配慮がされていると認識しております。今後は、ヤングケアラーの支援に向けた国の動向等も注視し、福祉・介護・医療・教育の各分野の連携を一層深めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) ヤングケアラーについて、始まったばかりでございますけれども、ケアラー全体としても、ケアラー自身の人生そのものも尊重していくことが非常に重要だと思っております。自他ともに大切な一人であるということを、多くの人に理解してもらう施策が必要かなというふうにも思っております。さらに具体的に進めていただきたいと思います。 次に、長期化するコロナ禍の市内事業者への支援についてに移ります。 地元地域経済といっても、業種によっては特性は様々です。飲食、観光、交通、製造、医療福祉など、業種別にきめ細かな支援も求められていると考えます。そういった地域経済を支えることに向けて、各経済諸団体との連携は非常に重要であり、地域好循環経済へつながっていくものと確信いたします。 そこで伺います。コロナ禍において各経済諸団体と、これまでどのような連携を行ってきたのか伺います。 また、今後どのように連携していくのか、連携の取組について所見をお伺いします。 ◎経済部長(武井好博君) 地域経済を支えるための関係団体との連携について御質問がございました。本市では、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受けている市内事業者を支援するため、商工会議所や商店街連合会、金融機関などと連携しながら、市独自の支援策を順次行ってまいりました。新型コロナウイルス対策特別融資の実施や経営相談窓口の拡充のほか、事業者や市民の皆様から高い評価をいただいている商品券事業については、経済団体からも再度の実施の要望をいただいております。引き続き地域の経済状況を的確に捉えながら、感染拡大の状況に応じた必要な経済対策を見定め、関係団体とも連携して、スピード感を持って実施してまいります。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 6月1日に、小田原市もまん延防止等重点措置区域に追加されております。事態が収束して、重点措置が終了して以降、市は地域経済の回復に向けてどのような施策を行っていくのか、この出口戦略についてお伺いいたします。 ◎経済部長(武井好博君) まん延防止等重点措置終了後の経済対策について御質問がございました。本市では、昨年12月から実施してきたおだわら梅丸商品券に続き、6月からはプレミアム付きデジタル観光券を発行する予定でしたが、まん延防止等重点措置区域に追加指定されたことを受けまして、実施時期の調整を図っているところでございます。まん延防止等重点措置の終了後は、プレミアム付きデジタル観光券の発行など、地域経済の回復に向けた施策を切れ目なく実施してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 本国会においても、本年10月から11月にかけて、希望者全員のワクチン接種完了を菅首相は表明されております。今はワクチン接種率向上、新型コロナウイルス感染症の収束がもう喫緊の課題でございますけれども、このコロナ禍の出口戦略については、「世界が憧れるまち"小田原"」、20万人都市を目指し、県西の中核をなす本市として、近隣市町に対する影響を考えれば、役割は重要であります。守屋市長におかれましては、ぜひリーダーシップを発揮され、分かりやすく出口戦略を指し示していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。 以上です。(拍手) ○議長(大川裕君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午前11時といたします。     午前10時49分 休憩-----------------------------------     午前11時0分 開議 ○議長(大川裕君) 休憩前に引き続き再開いたします。 10番鈴木議員、登壇願います。     〔10番(鈴木和宏君)登壇 拍手〕 ◆10番(鈴木和宏君) それでは、通告に従い質問してまいります。 初めに、1、小田原市農業振興計画について質問いたします。 本市の農業につきましては、これまで平成15年(2003年)3月に策定されました小田原市農村振興基本計画(おだわら農業・農村ビジョン)を基に推進されてきているものと認識しております。しかし、この基本計画は策定から20年近くが経過し、この間、本市の農業を取り巻く環境は大きく変化をしております。このため本市では、移り変わる環境の変化に対応し、本市に備わる農資源を、地理的優位性を生かしながら、安全・安心で高品質な農産物の安定的供給と持続的かつ魅力的な農業が展開できるよう、新たに小田原市農業振興計画を策定することとしています。 農業に携わる私としては、本計画について、本市の将来の農業の姿を、ぜひとも守屋市長と議論をしてまいりたいと考えた次第でございます。 さて、本計画におきましては、令和3年2月の建設経済常任委員会での報告を受けましたが、温暖化、高齢化、鳥獣被害など、農業をめぐる環境はますます厳しさを増しております。国内には、1000年前から同じ景色と称賛される農地がある一方で、市内には1年後もこの景色が維持できるか分からない畑が多々あります。本計画の構築は、将来の本市の農業の未来を左右する大事な作業です。危機感と未来への使命感を胸に、強固な計画を策定すべく伺ってまいります。 まずは(1)として、本市の農業の現状と課題について、どのように捉えているのかお伺いいたします。 次に、本計画の策定に当たっては、農に携わる人が誰かということが極めて大事です。農業者はもとより、農産物の流通や販売に関わる方々、さらには消費者である市民、これら農に関わる人の意見を反映することが重要であると考えます。そこで、(2)として、計画策定における市民参加についてはどのように取り組んでこられたのかをお伺いします。 次に、(3)計画の内容についてですが、計画の期間を令和3年度から令和12年度までの10年間、将来像を「農業者・市民・来訪者が支えあい 持続可能な農業があるまち小田原」としております。また、「地域農業を支える人材の確保・育成」、「次世代に継承する農地の確保」、「農業を脅かす危機への対応」、「未来につながる産地づくり」、「農の魅力向上」の五つの基本方針を掲げております。 将来像や基本方針におきましては、なるほどと思うところでございますが、実際にどのような施策が展開されていくのかがポイントであり、特に農家は大変に気にかけているはずです。そこで、計画における農業振興施策の内容はどのように定めていくのか伺います。 次に、(4)計画の推進についてです。策定した市が農業を行うわけではないので、農家を中心とした計画の推進体制を整備し、施策の適切な進行管理を行っていく必要があります。本市の農業に関係する様々な主体との推進体制はどのようになるのか、また、期間途中での計画の見直しについてはどのように考えているのかをお伺いします。 次に、(5)第6次小田原市総合計画との関連性についてです。今後、総合計画の策定作業が本格化していく中で、市の最上位計画である総合計画に先行する形で、農業振興計画の策定作業は進んでおります。そうしますと、農業振興計画と総合計画との整合性や関連性が気になってまいります。そこで、第6次総合計画における農業振興計画の位置づけと関連性、さらには国や県の農業に関する各計画との関連性についてお伺いいたします。 大項目の2にまいります。小田原市公共施設再編基本計画に位置づけられた事業の進捗について伺ってまいります。 日本は、高度成長期と言われる時代にたくさんのインフラを整備し、東京オリンピックの前後に一つのピークを迎えました。現在、建設整備する施設は70年あるいは100年もつような基準となっていますが、当時はまず造ることを優先したため、現在、50年を経て大きな節目を迎えています。笹子トンネル天井板落下事故、ふじみ野市プール事故など、事故の原因は施設の老朽化や管理体制の不備などいろいろありますが、老朽化は地震などの自然災害と異なり、必ず起きます。現在我々を苦しめている新型コロナウイルス感染症の蔓延が予測できないブラックスワンとすれば、老朽化は、皆が分かっているのになぜか放置されているブラックエレファントと言えます。しかし、このリスクは確実に予見できるので、考え方によっては確実に対処ができるものです。 また、施設の在り方を考える上で大事な要素は、人口減少です。将来的な労働力人口は減少し、老年人口は増加するという流れは変えられません。労働人口が2割減るとすれば、当然税収も2割減ると考えられます。また、高齢化で扶助費などの歳出が増加するのであれば、持続的な自治体運営を、将来のために対策を真剣に考えていかないといけないというわけです。 ではどうするのか。市内の公共施設は老朽化が進み、修繕、建て替え、もしくは廃止を考えていくときに来ています。また、管理運営の方法については、利用率を高めて稼げる施設に変えたり、実質的な経営の目線で改善し、見直しを考えるべきです。そこで伺ってまいります。 最初に、市内プールの在り方について伺います。 アとして、先日9日の厚生文教常任委員会におきまして、御幸の浜プールは老朽化が進み、今年度は大人用の50メートルプールを休場するとの報告がありました。高度経済成長の時代に想定された目的と現在の状態を比べるに、おおむねその役目を果たしたと私は考えています。設立当初から長い年月が経過し、様々な状況が変化してきている中で、本市は現在の市営プールをどのように位置づけているのか伺います。 イとして、市内小・中学校のプールについて伺います。市内小・中学校の全てにプールがあります。まず最初に、年間のプールの維持費について伺います。 ざっくりと申し上げれば、学校のプールは、建設に2億円とすると、40年で償却するとして年間500万円、これに毎年様々な維持管理費がかかっていることになります。かつ、通年で使用できる施設ではございません。もちろん老朽化も進んでおり、小・中学校のプールについての在り方も模索していく必要があると考えます。そこで、小・中学校プールの老朽化の現状とその対応について伺います。 続いて、橘地区の認定こども園の在り方について伺います。 こちらも、厚生文教常任委員会で報告がありました。共働き家庭の増加で市立幼稚園の園児が減少傾向になる中、減少の顕著な前羽幼稚園を下中幼稚園に統合し、認定こども園としてスタートするとのことであります。 そこで伺います。地域の子育て世代の方の意見はどのようなものがあったのか、また、現在の課題については、市はどのように捉えているのか伺います。 3番目に、市内小・中学校の再編について伺います。 国が平成25年11月に策定したインフラ長寿命化基本計画に基づき、文部科学省は昨年度末を期限として学校施設の個別施設計画の策定を地方公共団体に求め、本市においても、小田原市公共施設再編基本計画との整合性を図った上で小田原市学校施設中長期整備計画を策定しました。この計画は、学校施設環境改善交付金の事業採択の要件とされており、必要なことと捉えますが、本計画の内容を考えると、将来的な影響は大きいと考えます。計画の中では、策定の背景や学校施設の目指すべき姿などが示されておりますが、伺ってまいります。 持続可能な整備・保全に向けた基本方針として、「適正規模の維持と学校施設の最適化」が示されています。市はこの方針について、今後どのように進めていくのか、方向性を伺います。 また、(2)として、整備コストの平準化も挙げているが、こちらについて今後どのように進めていくのか伺います。 小田原市学校施設中長期整備計画のスケジュールでは、令和3年度は庁内検討の期間でありますが、小・中学校新しい学校づくり検討委員会は今後どのように進めていくのか伺います。 大項目の3、ニホンザルの被害対策について伺います。 もう5年も前になりますでしょうか、合同庁舎でニホンザルの対策説明会が開かれていましたが、県の職員の方と参加した県西部の農家との間で、被害の状況認識について大きな乖離があり、怒号の飛び交うやり取りがなされていました。会議が混乱を極める中、「今日は発言する気はなかったのですが」と、当時県議であった守屋市長がマイクを持ってとりなされたのを、昨日のように思い出します。 その後、管理目標の変更がなされ、S群の全頭捕獲が実現しました。多くの先輩議員と同様に、私も平成28年12月に一般質問をさせていただきました。また守屋市長も、県議会議員として神奈川県に対して働きかけを行ってくださいましたし、行政、JA、猟友会、生活被害を訴える市民など、皆が同じ方向を目指し達成したものと理解しております。本当に感謝申し上げる次第です。 しかし一方で、ここ最近では、早川・片浦地区に生息するH群が活動範囲を広げたために、その被害について話題に上ることが多くなりました。申し上げるべきは、H群についても、このところ民家周辺で見かけることが多くなり、農業被害だけでなく生活被害が急増していることです。 さて、6月8日の総務常任委員会において、令和3年度神奈川県ニホンザル管理事業実施計画の策定に伴い、H群の管理目標が変更され、全頭捕獲の着手が可能になったことについて、執行部から報告を受けました。このことは、長年にわたり被害を受けてきた農業従事者や地元住民の悲願であるとともに、安心・安全な生活を取り戻す一歩になると考えております。特に、私の周辺の農業従事者からは、本件について大変評価の高い意見を頂戴しております。 そこで伺います。県の策定する実施計画の変更については、総務常任委員会にて執行部より一定の説明はありましたが、これまで市からの要望や県による地元説明会などにおいて、地元から意見を出してもなかなか実現しなかったことが、どのような経緯で実現したのか、改めて伺います。 次に、平成29年度に全頭捕獲が認められたS群について、捕獲が完了したのは令和2年12月であり、およそ3年半の期間を要しております。同様にH群についても同程度の期間を要すると予測され、その間、農業従事者や地元住民は、以前と同様にニホンザルの脅威にさらされることが懸念されます。 今回の件は、市民の安心・安全を最優先に考え、市民に寄り添うとともに、県との太いパイプを生かし、停滞していたニホンザルの被害対策を大きく踏み出せた市長のリーダーシップが発揮された好例であると理解しております。しかし、本当に重要なのはこれからと考えています。今後、H群に対して、どのような対策を講じていくのか伺いまして、登壇しての質問を終わります。 ○議長(大川裕君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 10番鈴木議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、小田原市農業振興計画に関して、本市の農業の現状と課題について質問がございました。現状といたしましては、特に農業者の高齢化による担い手不足、経営耕地面積の減少と耕作放棄地の増加、農業産出額の減少が挙げられます。この現状を受けまして、課題は、多様な担い手の確保・育成、農業の持続的発展や多面的機能の発揮に向けた農地の保全、有害鳥獣や外来生物の防除、農産物の生産販売強化であると捉えております。 次に、計画策定への市民参加について質問がございました。市民参加につきましては、市民アンケートや農業者へのヒアリング、JAかながわ西湘などの関係団体と意見交換会を行い、さらにはパブリックコメントを実施したところでございます。 次に、計画の農業振興施策について質問がございました。位置づけた施策の主な内容といたしましては、新たな担い手確保策となる農福連携等の推進、ジビエ利用の促進、スマート農業の普及、本市の特徴ある農産物の高付加価値化への取組、農業を体験する機会の提供などでございます。 次に、計画の推進体制や見直しについて質問がございました。御指摘のとおり、本計画の推進に当たっては、関係者が連携して施策に取り組んでいく必要がございます。そこで、農業者やJAかながわ西湘などの関係団体がそれぞれの役割を果たし、市民とも協働できるよう、本市の農業推進に係る様々な会議体を通じて働きかけ、体制を整えてまいりたいと考えます。また、計画期間は令和3年度から令和12年度までの10年間でございますが、本市農業を取り巻く環境の変化などを踏まえ、5年後の令和8年度に計画の見直しをしたいと考えております。 次に、本計画の位置づけと、第6次小田原市総合計画や国・県の農業に関する各計画との関連性について質問がございました。本計画は、総合計画を上位計画として、本市の農業政策の個別計画に位置づけ、国の食料・農業・農村基本計画や都市農業振興基本計画、神奈川県のかながわ農業活性化指針と整合を図りながら策定をしております。 次に、市営プールの位置づけについて質問がございました。御幸の浜プールは、波打ち際より急激に水深が深くなっている御幸の浜において、安全に海水での水泳などを楽しむことを目的に、昭和45年に建設されたものであります。現在は、安価な入場料で利用でき、主に親子連れや子供同士の水遊びや憩いの場として、市民の健康増進やレクリエーション機会の提供という役割を担う施設の一つであると考えております。 10番鈴木議員の御質問のうち、学校施設については、教育長からの答弁といたします。 次に、橘地域の認定こども園整備に対する子育て世帯の意見について質問がございました。認定こども園の整備につきましては、自治会関係者等への説明会の後、子育てサークルのイベントや幼稚園に出向き、直接ヒアリングを実施しているところでございます。ヒアリングの中では、「下中幼稚園の場所までは遠い」、「園バスがあれば利用したい」、「駐車場があれば利用したい」など、距離や交通手段への御意見をいただいております。また、「認定こども園に入園できるなら、就労を検討したい」、「魅力のある施設であれば、多少の距離があっても利用する」など、施設機能等についての御意見も寄せられております。 次に、認定こども園整備の課題について質問がございました。現在の課題といたしましては、個別のヒアリングは行っているものの、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、子育て世帯や地域住民への説明会やワークショップ等の開催が見込めず、地域の方々への説明が十分にできないことでございます。このことから、様々な機会を捉え、子育て世帯等への丁寧な意見聴取を継続してまいります。 次に、県のニホンザルの計画変更の経緯について質問がございました。ニホンザルH群につきましては、県の計画に全頭捕獲と位置づけられるよう取り組むことを、着任早々から指示をしてまいりました。また、令和2年12月には、地元住民に対する被害調査を行い、明らかになっていなかった生活被害の実態を県に伝えたところでございます。私自身も県を訪ね、直接、被害状況を説明し、改めて全頭捕獲となるよう働きかけを行ったほか、地元自治会も県議会に陳情を提出したところでございます。この結果、県では被害軽減などの視点から総合的に判断し、全頭捕獲が可能となるよう管理目標を変更したものと考えます。 次に、全頭捕獲の手法について質問がございました。捕獲を効果的に進めていくため、県の専門機関であるかながわ鳥獣被害対策支援センターと連携し、H群の最も出没するルート上に、群れ捕獲に最適な大型捕獲おりを設置してまいります。また、群れから離れた猿に対しては、JAかながわ西湘及び猟友会の協力の下、箱わな等で捕獲するなど、全頭捕獲へスピード感を持って対応してまいります。 以上をもちまして、10番鈴木議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◎教育長(柳下正祐君) 10番鈴木議員の御質問のうち、学校に関わる質問については、私から答弁をさせていただきます。 初めに、市内小・中学校プールの維持費についての御質問がございました。プールの維持管理費は、循環ろ過装置等の電気代や水道代のほかに、保守点検費用、消毒に必要な薬品費等がございます。1校当たりの年間維持費は、内訳の算出が難しい電気代を除きまして、おおむね110万円から120万円程度でございます。 次に、市内小・中学校プールの老朽化の状況とその対応について質問がございました。小・中学校36校のうち、31校のプールが整備後30年を経過しておりまして、水槽やプールサイド等の劣化が進んでおりますが、必要な修繕を行いながら安全確保に努めているところでございます。プールの再整備や大規模改修につきましては、今後の水泳授業の在り方を含め、課題を整理していく必要があると考えております。 次に、小田原市学校施設中長期整備計画で示した「適正規模の維持と学校施設の最適化」に向けた取組について質問がございました。学校施設の最適化等を進めるためには、学校ごとの個別の検討を始める前に、その土台となります新しい学校の在り方の基本的な考え方を整理して、市民と共有する必要があると考えております。そこで、令和4年度から令和5年度にかけまして、(仮称)小・中学校新しい学校づくり推進基本方針を策定する予定であります。その中で、学校施設の適正規模・適正配置や、未来の子供たちにとって望ましい教育環境づくりの基本的な考え方を取りまとめてまいりたいと思います。 次に、整備コストの平準化の取組について質問がございました。先ほど御答弁した(仮称)小・中学校新しい学校づくり推進基本方針を策定した後には、改築・長寿命化の優先順位等について検討を進めていくことを想定しております。実際に改築・長寿命化を実施する時期につきましては、個別の建物の劣化状況等を勘案しながら、一定期間に集中することのないよう計画的に整備することで、平準化を図ってまいりたいと思います。 次に、検討委員会の進め方について質問がございました。(仮称)小・中学校新しい学校づくり推進基本方針の策定に当たっては、より多くの御意見を取り入れるため、(仮称)小・中学校新しい学校づくり検討委員会を設置したいと考えております。検討委員会には、学識経験者、保護者、学校関係者のほか、地域の関係者にも御参画をいただきまして、検討プロセスに深く関わっていただくことで、地域の未来にとりましても望ましい学校づくりとなるよう努めてまいりたいと考えております。 以上をもちまして、10番鈴木議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◆10番(鈴木和宏君) ただいま答弁いただきました。これから再質問に入ってまいりますけれども、大項目といたしましては1、3、2の順番で伺っていきたいと考えております。 それでは、小田原市農業振興計画について再質問させていただきます。 まず、担い手の減少、荒廃農地面積の増加、さらに農業産出額減少ということで、本市の農業の現状は大変厳しいと。私も、乗り越えなければならない現状として、改めて認識をしたところであります。 そして課題ですけれども、地域の農業生産を担う体制整備をどのようにするのか、農業の持続的な発展に向けた農地の確保、多面的機能の発揮に向けた農村環境の整備、それから地域特性や需要の変化に対応した生産販売、加えて最近クローズアップされている有害鳥獣や外来生物による被害の防除、これらの課題は、私が農業の現場で聞く市民の皆さんの声と同様であり、市では、的確な現状の把握と課題の分析を行った上で農業振興計画を策定していると、守屋市長の御答弁をいただきまして理解を深めたところでございます。 そして、計画策定における市民参加でございますけれども、市民アンケートや農業者へのヒアリング、関係団体との意見交換会、さらにはパブリックコメントと幅広く市民の声を聞いているとのことで、十分であることは分かりましたが、これら市民参加の過程における意見ではどのようなものがあったのか、また、それらの意見の計画への反映についてをお伺いしたいと思います。 ◎経済部長(武井好博君) 計画策定に当たりましての市民意見の内容と計画への反映について御質問がございました。市民からは、本市の農業へ期待する旨の御意見をいただきました。農業関係者からは、各地域が抱える農業の課題や鳥獣被害対策、新規就農、特産品の高付加価値化など、農業振興に関する幅広い御提案をいただきました。これらの御意見を、将来像、基本方針、施策などに可能な限り反映し、計画を策定しているものでございます。 以上です。 ◆10番(鈴木和宏君) 様々な意見があったと思いますけれども、特に、本市の農業へ期待する声があったということは、非常に今後の農業者の意欲向上につながることと思います。多くの意見を包括的に、計画の将来像、基本方針、施策へと落とし込めたことは、計画策定のプロセスにおいて大変重要であったと思います。そういった意味でも、計画の内容について、肝腎な農業振興施策は関係者の理解を得られるものと期待しております。 それから、計画の推進についてですけれども、計画を策定した市だけでなく、関係者がプレーヤーとして農業振興に取り組む必要があります。計画の実効性を高め、本市の農業振興施策を推進するためにも、関係者への計画の周知は大変重要になってくるのではないでしょうか。そこで、計画の周知はどのように行う予定なのかをお伺いいたします。 ◎経済部長(武井好博君) 農業振興計画の周知方法について御質問がございました。計画につきましては、市ホームページへ掲載するとともに、概要版を作成し、農業者への回覧、JAかながわ西湘各支店への設置等を予定しております。また、農業委員会等の関係団体に対しましては、直接説明するなど、計画の周知に努めてまいります。 以上です。 ◆10番(鈴木和宏君) 今、周知の方法について御答弁をいただきました。今回の農業振興計画は、20年前と時代背景が大きく異なっております。農に関係する人たちを広く取り込んでいく必要があると感じています。 私も農家の一人でございますので、種をまいて収穫するこの一連のサイクルが、なりわいとして骨身に染み込んでいるのは農家であると、そのように感じております。ただ、それ以外に、今回の農業振興計画の中で断片的に関わってくる方、食育、地産地消、それから一消費者、こういった方たちまでが、この計画を知らずとも農業振興計画の一部として組み込まれていくことが大事であると感じますし、より農に携わる人への計画の周知。先ほど、農に携わる人の意見の話がございましたけれども、その中で新規就農者という言葉がございましたけれども、特に在来の農家の方、こちらについても大事にしていただきたい。こういった農業に関わる人への計画の周知について、さらに理解を深めてもらえるよう様々な機会を捉えて取り組んでいただきますよう、これは要望といたしたいと思います。 次に、総合計画との関連性について伺ってまいります。本市の農業振興計画は、国の食料・農業・農村基本計画や都市農業振興基本計画、神奈川県のかながわ農業活性化指針とも、その整合性を図りつつ、第6次小田原市総合計画を上位計画として、本市農業政策の最上位計画に位置づけられると理解をいたしました。総合計画との関連で申し上げれば、本年3月、「世界が憧れるまち"小田原"」の基本的な考え方や、その実現に向けて注力していく先導的取組の2030年に向けた工程表等から成る2030ロードマップが策定されました。 新たな総合計画の基礎となるこのロードマップは、2030年の姿として、「多様なおいしい地元食材を使った商品開発が進んだり、提供する飲食店が増え『美食のまち』が定着することなどによって、持続可能な農林水産業が営まれている」との記載がございます。公民連携とデジタル技術の活用を推進エンジンとして、暮らしの土台となる豊かな環境を継承しながら、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」の両輪を回していくという観点から、「美食のまち」の実現は、地域資源を生かした新たなビジネスの切り口として大いに期待をするところです。農業振興計画にも、「未来につながる産地づくり」という基本方針や「特産品の高付加価値化」という施策があり、「美食のまち」の実現への着実な取組が期待されるところであります。 そこで、守屋市長にお伺いいたしますが、地域資源を生かした新たなビジネスとなり得る「美食のまち」とは、どのようなものをイメージされているのかをお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 「美食のまち」のイメージについての質問でございますけれども、本市の農産物は魅力ある地域資源でもありますので、これをさらに活用していきたいというふうに考えているところでございます。そこで、農産物を素材といたしまして、一例ですけれども、例えば有名なパティシエ等、民間の事業者と連携した新商品を開発することで、新たなビジネスにつながり、その新商品が「美食のまち小田原」を訪れるきっかけとなるということも考えられます。農業振興計画にある農産物の高付加価値化に取り組むということは、まさに「美食のまち小田原」の一つの要素になると考えております。 「美食のまち」というのは、いろいろなイメージがあるというふうに思うのです。今、一生懸命そこを議論しているところなのですけれども、もちろん新しい商品を開発するであるとか、新たな販路をつくるだとか、それをもっともっと発信していく、その取組も欠かせませんけれども、やはりその素材です。やはりすばらしい素材があるというのが、水産業も農業も林業も含めてですけれど、私は、小田原市の持っている非常に強い、高いポテンシャルだというふうにも思いますので、そこを踏まえながら、この小田原市の持っているそのポテンシャルを総動員して、この「美食のまち小田原」をつくっていきたいと考えています。 以上です。 ◆10番(鈴木和宏君) 今、答弁をいただきました「美食のまち」、大いに期待するところでございます。 私の知っている農家の言葉を幾つか披露します。若手農家の中で、「俺たち仕事をしていて、飢えさせたら負けだよね」という一つと、それから、やはり農家の一つの喜びとして、「これを食べてみな」と言うこの喜びというのはかけがえのないものだと。「美食のまち」、期待をしたいと思います。 また、「耕作放棄地をどうするのだ。そのためには担い手が必要だ。では、担い手の確保をどうするのだ」、そうしたときに「農家の収入を確保すること、これがやはりこの一連の流れ」、そういったことをおっしゃったベテラン農家の方もおりました。 今、答弁いただきましたけれども、本市では温州ミカンだけでなく、神奈川県が開発した湘南ゴールドや片浦地区の生産者が極力農薬を使用しないで栽培している片浦レモン、また最近は、JAかながわ西湘が統一ブランドとして生産と販売を強化している「湘南潮彩レモン」など、様々なかんきつ類が栽培されています。さらには、観光名所となっている曽我梅林を中心に栽培されている梅、有機栽培への取組で全国的にも有名なキウイフルーツ、地元畜産農家の堆肥を使用し、美味と評判の下中たまねぎ、加えて箱根山麓の適地で栽培されているお茶、新しいブランドであるオリーブなど、本市には「美食のまち」のアイテムとなる農産物が豊富にあります。農産物を地域資源と捉え、これらを生かした新たなビジネスが展開されるよう、こちらは要望といたします。 大項目の1の最後に、総括的な話をさせていただきますと、農業振興計画の計画期間は令和3年度から令和12年度までの10年間で、新たな総合計画と同じになることから、本市の農業振興も「世界が憧れるまち"小田原"」の一つの要素になるのではないかと私は考えております。そこで、農業振興計画に基づく本市の農業振興と「世界が憧れるまち"小田原"」の実現への寄与について、守屋市長の考えをお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) 農業振興と「世界が憧れるまち"小田原"」の実現についての関係性というところでございますけれども、農業振興計画の将来像は、「農業者・市民・来訪者が支えあい 持続可能な農業があるまち小田原」であります。今の10番鈴木議員の御質問の中にもありましたように、これは担い手をどうしていくか。もちろん、先祖代々の土地を受け継いで、その農業を絶やさない等、長い間活動していただいている農業者の方たち、まずはこの努力ということ、そしてそれをお支えするということは、私は大切だというふうに思っています。しかし、そこに頼るだけではなかなか、担い手が減っていく一方だという現実があるところでもございますので、その上で新たな担い手、そして専従でなくても、いろいろな人が支え合うような仕組みをつくるということが、まさに持続可能な農業をつくっていく、結果としてそれが、耕作放棄地の解消につながる、そんな好循環を目指したいというふうに思っております。 「世界が憧れるまち"小田原"」、私は、何度も答弁させていただきますけれども、豊かな環境の継承を土台として、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」を回していく、そしてその推進エンジンとして公民連携とデジタル技術の活用。まさに農業振興は、これにぴったり当てはまるのだというふうに思うのです。この豊かな環境というのは、我々が幾ら努力してもなかなかつくることができない。でも、せっかくこのすばらしい環境があるのだから、それを土台として生活の質の向上、それから新たなビジネスをつくっていくことによって地域経済をやっていく。スマート農業などという話もさせていただきましたけれど、やはり新しい技術も使っていく。今、ドローンを使った様々な実験なども行われています。そして公民連携、まさに今までの農業者の方だけの御努力に頼るのではなくて、いろいろな民間の力も入れていく。まさにこのことは農業振興と「世界が憧れるまち"小田原"」ということが合致するものだというふうに思っておりますので、このようなことをしっかりと推進することによって農業振興に努めて、結果的に2030年の小田原の姿を目指していきたいというふうに考えております。 以上です。 ◆10番(鈴木和宏君) ただいま守屋市長の力強い答弁をお聞きしまして、本市の農業振興が、「世界が憧れるまち"小田原"」の実現に寄与するものと大変期待しております。 そして、農業振興に期待しているのは農業者だけでなく、消費者である市民の方々も大勢いると思います。本市の農業は課題が多く、農業振興は喫緊に取り組まなければならない施策です。今回の質問では、農業振興計画全体について取り上げさせていただきましたけれども、今後の農業振興施策がどのように推進されていくのか注視をするとともに、担い手の確保や育成、生産振興、6次産業化などの個別の対策については、機会を捉えて改めて質問をしていきたいと存じます。 最後に、守屋市長におかれましても、ぜひとも農業振興へ期待する様々な声にお応えいただき、「農業者・市民・来訪者が支えあい 持続可能な農業があるまち小田原」を実現していただきますよう強く要望して、次の大項目3に移らせていただきます。 ニホンザルの被害対策について、続いて伺ってまいりたいと思います。よく、住宅街に猿が現れると、これはもう、テレビが取り上げるような大きなニュースになります。ところが、片浦、早川に住んでいる私たちとしては、これは日常のことで珍しくも何ともないことになってしまっている、これは異常なことなのです。早川、片浦では、芋、豆、トウモロコシを作るのは非常に難しい。季節の挨拶をするように、「猿が出まして作れないのです」というのが合い言葉みたいになってしまっている。今日、片浦の方もお見えですけれども、「鈴木さん、もう全頭捕獲しかあり得ないべ」と。そのような言葉をいただいております。早川小学校に行きましても、猿の対策の授業が毎年必ず行われる、このように変わってきております。テレビが急に映らなくなった。庭のヤマユリがみんな取られてしまった。外にいる猿を見たら、何か立派な桃を持っている。見たら、うちの仏壇にある桃だった。枚挙にいとまがございません。ぜひ対策を急いでいただきたい。 そして、改めて伺いたいと思います。こちらは本当に、地域の方が期待されている大きな事象であったと思います。鳥獣対策はたくさんございますけれども、ニホンザルの対策、どのような気持ちなのか、いま一度守屋市長の御所見を伺いたいと思います。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 ニホンザルの質問、私も市長に就任してから何度か答弁もさせていただいたところでございますけれども、遡れば平成23年の4月に県議会議員に初当選させていただいてから、いろいろな農業の問題に関わらせていただきました。そして、県議会でも環境農政常任委員会や、また都市農業推進議員連盟などの活動も通じて、県内にもいろいろな農業の課題があって、鳥獣被害といってもたくさんある。そのときに、今の10番鈴木議員の御質問で思い出したのですけれど、私、猿の話を言ったら、横浜の議員には、「猿って動物園にいるものでしょう」という、そこからして、もう認識が違うということがあったことを、今、改めて思い出しました。 そして、地域の方とお話しするときに、何とかこの猿の問題を片づけなければいけないというお話を私もするのですけれど、地元の方からは「もう何年やっているのだよ」と。「1年や2年ではないではないか」と。「何十年やっている。追い払いしても、すぐ戻ってきてしまうよ。猿は頭がいいんだから」と。今、議員の御質問にもあったように、家の中に入ったりとか、そういうことがどんどんあって、もう農業被害ではなくなってきているということを私は強く感じて、何とか被害の軽減をということで。そして、先ほど合同庁舎での怒号の飛び交う場面を、私も今、思い出したところでございますけれども、何とか努力してH群の全頭捕獲にこぎ着けたところです。 そして私、県の自然環境保全審議会の委員も務めていた時期もありました。そこでも発言したのです。「決してニホンザルは我々の敵ではない。しかしながら、これだけ里に下りてきて、農業被害だけではなくて、子供たちが通学の時間帯に襲われるようになってくる。子供たちを襲う猿は、もう私たちの敵と言わざるを得ません」ということを強く訴えて、S群の全頭捕獲になった。おかげさまで、S群のほうが3年程度かけてそれが実現した。それで今度、残るはH群です。 この計画が改定される前、S群については全頭捕獲で、H群については、あらゆる手段を講じてもその被害の軽減が見込めない場合には全頭捕獲に行くというようなことが示されましたので、あらゆる手段をやったところです。でも、やはりその被害は軽減できなかった。とすれば、もう計画に書いてあるように、あらゆる手段を講じて駄目だったのなら全頭捕獲しかないでしょうと。私は市長就任後に、今度は市長として、その言葉を県のほうに何度も何度も伝えていた結果として、やっとH群の全頭捕獲が位置づけられた。ただ、これは紙に位置づけられただけですので、現場の実態はまだまだ全然変わっていないところです。後はしっかりと捕獲を進めることによって、地元の方たちの農業振興はもとより、猿におびえた生活ではなくて、いろいろな脅威はあるけれども、少なくとも猿の脅威からは解き放たれた生活ができるように、いち早くその姿を実現するように取り組んでいきたいと思います。 以上です。 ◆10番(鈴木和宏君) 力強い答弁、ありがとうございます。 続いて、大項目の2のほうに移らせていただきます。 市営プールの意義につきまして答弁をいただきました。皆さん覚えていらっしゃるかと思いますけれども、ふじみ野市のプールの事故の際、こちらは判決を調べると、責任を取ったのは担当課長と担当係長ということです。例えば、この4月にスポーツ課に赴任してきて7月に事故が起きてしまった。このときに処分されるのは、その担当課長、担当係長。本来であれば、執行部であったり議会であったり、歴代の担当していた課長、係長というのがいらっしゃったわけなのですけれども、現在の課長、係長だったと。先ほど答弁いただいたとおり、市営プール、本当にすばらしいものです。恐らく現場に入ってしまうと、維持について、運営について、きっと一生懸命やられると思うのですけれども、ただ在り方について、俯瞰的にこれからどうするのだという議論をしていくのは、今、議会にいる私たちの仕事であると考えます。執行部、そして議会が、しっかり両輪として善政競争をしていくことが、私は大事であると考えます。今回、委員会の中では、調査費が計上されると聞いております。ぜひ将来的な、前向きな一つの材料となるように生かしていただけるよう、お願いを申し上げます。 次に、小学校のプールに移ってまいりたいと思います。答弁をいただいてきましたように、多くの経費がかかっている状態でございます。こちらも、早急に在り方を考えていく必要があると考えております。近年、他の自治体で、学校の水泳授業で民間プールを活用する事例が多くありますけれども、本市での活用の可能性について伺ってまいります。 ◎理事・教育部長(北村洋子君) 学校の水泳授業の民間プールの活用の可能性についてということでお尋ねがございました。民間プール等を活用した水泳授業の民間委託は、千葉県佐倉市などで行われておりまして、指導の充実、安全管理の向上、施設の維持管理の負担軽減などの効果が報告されております。本市におきましても、学校プールの課題を整理していく中で、市内の民間プール事業者との意見交換等、こちらにつきましては現在既に、幾つかの事業者と意見交換の場を持たせていただいておりますが、引き続き活用の可能性について研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆10番(鈴木和宏君) 活用の可能性ということで答弁いただきました。ぜひ進めていただけたらと考えております。 続きまして、橘地域の認定こども園についてです。利用について前向きな意見があるとの答弁をいただきました。私も個人的に調べさせていただきましたけれども、実は市の外にライバルが多い。毎朝、幼稚園のバスが4台通って、市外へと通園しています。このまま、古くなったから新しくするべきだ、人が少なくなったからという理由だけでは、園児が、もしかしたら増えない可能性もあると感じています。保護者が通園させたくなる、魅力のある認定こども園を整備すべきと思いますが、市の整備方針を伺ってまいります。 ◎子ども青少年部長(杉崎智君) 認定こども園の整備方針についてのお尋ねでございます。認定こども園の整備によりまして、これまで橘地域になかった保育機能や3歳からの教育機能を提供することによりまして、当該地域の子育て環境を改善したいと考えております。また、学校や地域と連携をいたしました教育活動、子育て支援やインクルーシブな環境づくり、ICTを活用した保護者連絡、進んだ教育・保育を取り入れる研究活動などを推進いたしまして、公立施設ならではの魅力ある園づくりを行いたいと考えております。 以上でございます。 ◆10番(鈴木和宏君) ありがとうございます。ぜひ保護者の皆さんの懐に入っていって、気持ちを聞いてきてほしいと考えております。 橘の地区といいますと、現在、西湘バイパス、それから小田原厚木道路、こちらに挟まれた地域です。それで、今、西湘バイパスからの道路の延伸、これも止まっている状態なのですけれども、認定こども園という形を取るのであれば、そこに預けて仕事場に行くという流れがやはり必要かなと。これも俯瞰的に見たときに、圏央道とつながった小田原厚木道路、これは非常に魅力があると思います。二宮インターより、もし橘のインターがあったら、これは小田原の魅力として非常に寄与するところであると思います。ぜひまた、市のまちづくりにつきましては、市長と質疑ができたらと考えております。 次に、小学校の再編について伺ってまいりたいと思います。 小学校を例に取りますと、学校教育法第38条、学校教育法施行規則第41条の記述が本当に厳しい。いただいた答弁には、市民と意見の共有との文言、言葉をいただきました。ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。 平成の大合併で、ここ10年で全国3000を超える小・中学校が消えております。本市でこういった議論がなされなかったのは、先日、南足柄市との議論もありましたけれども、平成の合併がなかったからです。学校教育法第38条の内容、自治体は小・中学校を設置する義務があることをうたっています。数が書いていないですよね。一つあればいいのですよ。そうすると、平成の大合併の中でなくなった市町村の中では、置いておく必要がなくなるから3000が消えたのです。そういったときに、第41条のこの規則、12クラスから18クラスという学校の単位、この大きさが非常に私は気になってしようがない。ぜひ市民と共有、これを進めていただきたいと私は考えております。そして、主体性を持ちながら、地域でどんな教育環境が必要なのか、議論をしていく時期に入っていると思います。これにつきましては強く要望をさせていただきます。 最後に、今回質問しました御幸の浜プール、小・中学校、子育て施設等を含む市内公共施設全般について、小田原市公共施設再編基本計画における今後の事業の方向性はどのようになっているのか、伺いたいと思います。 ◎副市長(鳥海義文君) 今後の事業の方向性について御質問でございます。小田原市公共施設再編基本計画では、それぞれの施設につきまして、施設の分類、これごとに再編の方針を定めてございます。今お尋ねのございました市営プールや小・中学校、幼稚園・保育所、こちらにつきましては、短期的に取り組む主な事業と位置づけをしてございまして、施設の複合化や統廃合、公民連携を視野に入れまして、施設の機能、また配置の適正化、また総量の縮減を図っていく、このようなこととしてございます。今後の進め方の中で、一番大切だと私どもも考えてございますのは、施設の数や面積は減らしながらも、やはりそういった中でも市民にとって必要なサービス、また機能といったものをできる限り維持向上させていくのだ、こういう考え方であると思っております。今後も市民の皆様との合意、こういったものをしっかりと配慮しながら、しっかりと取り組んでいこう、このように考えてございます。 以上でございます。 ◆10番(鈴木和宏君) とても難しいお言葉をいただきました。本当に感謝を申し上げたい次第であります。私も、この公共施設の在り方についてというのは、非常に言葉が難しい。そして、もちろん新しく、何でも新しいものが欲しいというのはありますけれども、言いづらいことでありますけれども、ぜひ皆様と力を合わせて取り組んでまいりたい所存でございます。 方向性につきまして理解いたしましたので、ぜひスピード感を持って取り組んでいただけたらと思います。要望させていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(大川裕君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後1時20分といたします。     午前11時56分 休憩-----------------------------------     午後1時20分 開議 ○議長(大川裕君) 休憩前に引き続き再開いたします。 4番角田議員、登壇願います。     〔4番(角田真美君)登壇 拍手〕 ◆4番(角田真美君) 冒頭に当たり、まずは自らの動きを御報告させていただきます。去る5月10日をもちまして、これまで加藤仁司代表の下、9人で構成する最大会派・誠風から緑風会へと会派を異動いたしました。緑風会は、昨年の守屋市長誕生という中で、新たに誠風の兄弟会派として誕生していました。このたび、13番鈴木紀雄代表、14番木村正彦議員、3番川久保昌彦議員という人生の大先輩のメンバーに合流し、4人の会派となりました。私は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や様々な気象変動が騒がれる昨今、緑の星・地球と表現されるように、緑(グリーン)という言葉の持つ心地よさを自分に取り込みたい、そのような思いでございます。これまで市議会議員になってから御指導いただいた会派誠風の皆様をはじめ、この異動に伴い御協力いただいた皆様への感謝の気持ちを忘れず、さらに市政へと精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、通告に従い、これより一般質問させていただきます。 昨年より3日遅く、平年より7日遅い6月14日月曜日に、関東甲信の梅雨入りが気象庁により発表されました。こうした状況に加え、本格的な台風シーズンを迎えると心配になるのが、風水害に向けての避難対策です。おととしの台風第19号の苦い経験からも、一歩も二歩も、自助、共助、公助の減災へ向けての対策を前進させておかなければなりません。 そこで、大項目1として、風水害の対策について伺います。 過日、令和3年5月20日から国の改正災害対策基本法が施行されました。避難勧告と指示に関するこの法律の規定が見直されたのは、1961年の制定以来初めてとのことでした。これにより、災害時レベル4で市町村が発令する避難勧告を廃止し、避難指示となり、レベル3の避難準備・高齢者等避難開始から高齢者等避難と、それぞれ表現が一本化されました。新たに、自宅のより安全な場所にとどまる屋内安全確保も、選択肢として示されています。改善点として、よりシンプルで分かりやすくなったと言えるかもしれませんが、その目的とするところが、言葉だけでは分かりにくい部分もあると感じています。 そこで、中項目(1)避難情報の新基準の周知方法について、本市ではどのような用意がされているのかを伺います。 次に、中項目(2)要配慮者の避難対策について、ここでは特に障がいのある方々についてといたしますが、お伺いします。 風水害は、台風の進路などをあらかじめ予想できる場合も多く、計画的に避難を進めることができるのが、地震や津波とは違うとよく言われます。守屋市長は、市長就任前ではありましたが、台風第19号のときに、障がいのある方々へ具体的な避難所の用意に努力をされた御経験があり、市長になってからも、ペットと共に避難できる場所など積極的に確保されています。このような中、本市ではバリアフリー型風水害避難場所として、川東タウンセンターマロニエ、おだわら市民交流センターUMECO、城北タウンセンターいずみの3か所を開設することとしています。 そこで、避難に当たっては要配慮者、特に要支援者お一人お一人の避難方法を記した個別避難計画の作成が重要となってくると思われます。現在、本市では自治会役員、民生委員などを含む自主防災組織の協力の下、この計画を立てると伺っています。実際問題として、ケアマネジャーなど福祉の専門家にも依頼し、計画を立てた方がよいのではないかと考えます。このことは予算をかけてでもしていくべきとのお考えはないかを伺います。 続いて、中項目(3)女性の視点を取り入れた避難所運営について伺います。 5月7日の神奈川新聞の記事で、《災害時の避難所運営リーダー、神奈川9市町で女性「ゼロ」》の、その9市町の中に小田原市が含まれていました。東日本大震災から10年の節目を迎えた今、自然災害で受けた苦しみの上にさらなる苦しみを味わうことのないようにと、最近立て続けに「災害支援に女性の視点を!」、そして「災害女性学をつくる」、こういった本が次々出版され、社会的にも注目をされております。 例えば、トイレの場所が暗い、見回りが男性だと行きづらいといった理由で、トイレに行くのを控え、膀胱炎へとつながってしまう。男性には生理用品のことを言い出せない、着替える場所がないといった女性行動心理の配慮は、同性でないと気づけない部分も多いのではないでしょうか。また、妊産婦や乳幼児を抱えた方々の要望についても、具体的なことは女性のほうがより理解があるでしょう。これはほんの一部の例に過ぎませんが、避難所の運営には、女性の視点に立った対策が急務であると考えます。そこで、本市の今後の対応については、どのようにしていくおつもりなのかを伺います。 続きまして、大項目2、郷土資料等の収蔵及び活用について伺います。 昨年12月に開催された「小田原市役所の美術品たち展」は、小田原市役所の2階ロビーにおいて、5日間にわたる美術展の後、12月12日には7階大会議室でのシンポジウム、小田原市役所庁舎内を巡り、美術品を解説つきで鑑賞する庁舎内アートツアーといった内容で構成されていました。この主催は、おだわらミュージアムプロジェクト(OMP)と小田原市となっており、平成29年度から令和元年度まで、市民提案型協働事業として小田原市所蔵の美術品を調査し、台帳を作成した成果となりました。私も、美術展、シンポジウムに伺ってみて、コロナ禍ではあっても大変好評であると認識を持ちました。 そこで、中項目(1)「小田原市役所の美術品たち展」を踏まえた今後の展開について、何点か伺います。 初めに、今回の美術展の延べ来所人数について伺います。 次に、シンポジウムの後のアートツアーは定員を超えてしまい、断った人がいるほどであったそうですが、大変多くの人々の関心を寄せ、開催できてよかったとの思いがあります。この庁舎内アートツアーを毎年定期的に開催するお考えはないか、また、おだわらミュージアムプロジェクトがまとめた作品リストについて、ホームページでは紹介されておりますが、絵画などに関心のなかった方々へも関心や興味を持ってもらえるきっかけになるという意味でも、広報紙面で毎月解説つきで紹介していくといった考えはないか伺います。 次の中項目(2)と中項目(3)について伺う前に、前提として申し上げておくことがあります。私は、文化部ほかの御協力により、4月の14日、15日と2日間をかけて、小田原市の郷土資料の収蔵された全6か所を視察させていただきました。これは、私が市議会議員になった年の9月定例会の一般質問をしたときからの願いでした。このときの一般質問を通して、収蔵施設の所管が多岐にわたっていることや、消防の空きスペースなど、本来収蔵しておくのにふさわしくない場所にまで収蔵せざるを得ない小田原市の現状を知り、小田原市に博物館、美術館を建設する前に、収蔵という課題を何とかしていかなければならないとの思いを強くしていたのです。 今回、最初の視察場所の郷土文化館は文化部生涯学習課、常盤木門・天守閣倉庫は経済部小田原城総合管理事務所、文学館南側倉庫は文化部中央図書館、市役所1階管財課倉庫は総務部管財課、旧衛生会館は文化部文化財課といった具合で、各担当所管には、細かいところまで写真を撮らせてもらうなど協力をしていただきました。 先日、小田原市郷土文化館の編集によるこちらの冊子、「小田原市郷土文化館常設展示ガイド 小田原の歴史と民俗」という冊子が完成し、私もいただきました。 最近、ユネスコの附属機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)により、北海道・北東北の縄文遺跡群を世界遺産に登録すべきとの記載勧告があり、一気に縄文時代の遺跡が見直されております。本市においても羽根尾貝塚、久野一本松遺跡などがありまして、この冊子の冒頭でそのことに触れています。破片を組み合わせ、ほぼ完全な形になった土器も郷土文化館には展示がされております。私は、中学の歴史教科書で縄文土器の模様を見た生徒が、ここまで足を運んだならば、将来の考古学者が小田原から生まれるのではないかと思います。 5月29日の神静民報に、小田原市学芸員による「縄文文化の魅力」の記事がありました。小田原市南町の天神山遺跡から出土したおよそ4200年前の長野県産の黒曜石がなぜここにあるのかは、当時海産物を求めて取引があったのではないかといった考察内容で、とても興味深かったです。 さて、今回の視察では、エクセルデータでの管理を進めているという説明を多く耳にしました。そこで、中項目(2)デジタル活用の現状と方向性について伺います。 この各所管で進めているエクセルフォーマットは互換性があるもので、将来、一元管理も視野に入れての作業であるのかどうか、特にお伺いいたします。 私は、昨年9月定例会・決算特別委員会での総括質疑で、デジタル博物館について触れさせていただきました。本市におけるデジタル博物館、デジタルミュージアムというものについて、今後、研究検討としてはどうかも伺います。 続いて、中項目(3)収蔵施設整備の今後について何点か伺います。 先ほども述べましたが、小田原市には280か所の遺跡があり、小田原三の丸ホールの建設のときには出土遺物が約1000箱にもなったと伺っています。視察した旧衛生会館も、発掘調査を進めれば進めるほどスペースがなくなっていくとのお話でした。ここではさらに雨漏りによる課題もあり、早急に修繕し、少しでもスペースの有効活用をお願いいたします。 さらに、今後いっぱいになってしまうことを想定し、民間施設の活用への期待もしたいところですが、そのお考えについても伺います。 もう一つ、郷土文化館の2階のバックヤードには、昔の生活道具など民俗に関わる資料が数多く保管されているものの、資料を調査するためのスペースが確保できないといった課題がありました。資料調査を支障なく進められる状態に改善していくためには、どう考えるかを伺います。 以上をもって、登壇しての一般質問を終わります。 ○議長(大川裕君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 4番角田議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、避難情報の新基準の周知について質問がございました。避難情報の新基準の周知につきましては、改正災害対策基本法の施行に合わせ市ホームページでお知らせをしているほか、7月には概要を説明した資料を自治会回覧するとともに、広報8月号では新基準に関する記事を掲載する予定となっております。また、同じく8月には、「わが家の避難行動マニュアル」の改訂版の配布を予定しており、避難場所の確認や避難方法などについて、改めて周知を行う予定でございます。 次に、個別避難計画の作成について質問がございました。個別避難計画の作成につきましては、本年5月に国が災害対策基本法等を改正し、福祉専門職が計画の作成に参画することが重要との方針が示されました。本市では、昨年度から、一部の自主防災組織で先行的に計画の作成に取り組んでいただいているところでございますが、今回の国の方針を踏まえ、自治会や民生委員など地域の方々に加え、要支援者の状態をよく知る福祉専門職など、多くの関係者に協力いただき、より実情に即した計画づくりに努めてまいります。 次に、女性の視点を取り入れた避難所運営について質問がございました。令和2年5月に国が策定した「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を基に、本市の「広域避難所運営マニュアル作成のガイドライン」を改訂しております。本市では、女性や若者の意見を取り入れた市政運営を目指しており、広域避難所運営委員会においても、女性委員が参画し、女性の視点も取り入れた協議をしているほか、各広域避難所に複数の女性職員を配備し、運営に当たっております。今後も、男性委員の意識づけを含め、女性委員の意見を取り入れられるように支援してまいります。 次に、令和2年度に開催された「小田原市役所の美術品たち展」の延べ来所人数について質問がございました。令和2年12月7日から12月11日に市役所2階ロビーで開催した美術展は、延べ260人が鑑賞を行いました。この集計は、受付開始時間の午前10時から終了時間の午後5時までの確認であるため、開庁後すぐに鑑賞された方を含めると、さらに多くの方が鑑賞されたのではないかと認識しております。 次に、庁舎内アートツアーを毎年開催する考えについて御質問がございました。令和2年12月に実施した庁舎内アートツアーは、本市の所蔵美術品を鑑賞していただく機会を提供し、改めてそのすばらしさを確認するきっかけになったと考えております。この庁舎内アートツアーを毎年開催することにつきましては工夫を要するところでございますが、まずは庁舎内の空きスペースに展示する作品数を増やすほか、小田原三の丸ホールでの展覧会を企画するなど、気軽に美術作品に触れ、これまで関心のなかった方に対しても、そのすばらしさを感じていただけるような機会の創出に努めてまいります。 次に、市の所蔵美術品を広報紙面で毎月解説つきで紹介する考えについて質問がございました。市の所蔵美術品を広報紙面で紹介することは有効な方策の一つでございますが、多くの方に関心や興味を持っていただけるような内容に工夫が必要であると考えます。また、実物の美術品を実際に鑑賞することで、そのすばらしさを実感していただくことも重要であると考えます。市所蔵美術品の紹介につきましては、4番角田議員の御提案の内容を踏まえ、様々な手法を組み合わせながら取り組んでまいります。 次に、郷土資料等の収蔵品リストの将来の一元管理について質問がございました。これまで、郷土資料等を収蔵している各所管が進めてきた収蔵品リストの管理方法につきましては、紙を主体にしたカードや表形式によるものなど、所管ごとに異なっておりました。そこで、将来的な一元管理を視野に入れ、これまで所管ごとに異なっていた書式をできる限り統一するため、同一書式による収蔵品リストの作成に着手したところでございます。 次に、デジタルミュージアムについて質問がございました。郷土資料等のデジタル化は、資料の保存や郷土小田原の魅力を広く発信していくためにも、大変重要であると認識しております。郷土文化館では、市のホームページに所蔵資料の目録や解説を掲載するとともに、小田原市地理情報システム(Navi-O)に、指定文化財や史跡の情報を登録し、所在地や概要を地図上で把握できるようにしております。デジタルミュージアムにつきましては、所蔵資料のさらなるデジタル化を進めていく中で、先進事例等も参考にしながら研究していきたいと考えます。 次に、収蔵施設の民間施設の活用について質問がございました。各所管が管理している収蔵施設につきましては、収蔵スペースの不足が生じており、今後も収蔵資料が増え続けることが想定されることから、新たな収蔵スペースの確保が課題となっております。このため、現在の施設の有効活用に努めるとともに、他の公共施設や市が所有する不動産のほか、民間施設の活用についても選択肢の一つとして、引き続き検討を進めていきたいと考えます。 次に、郷土文化館での資料調査を進めるための改善方法について質問がございました。郷土文化館の学芸員が、展覧会の開催などに合わせて日々資料の整理を進めておりますが、令和3年度からは、近隣の博物館施設で勤務経験のある学芸員にも御協力いただき、資料調査スペースの確保に努めております。まずは、資料の整理を着実に進め、郷土文化館内のスペースを有効に活用することで、資料調査を円滑に進めていきたいと考えております。 以上をもちまして、4番角田議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◆4番(角田真美君) 一定の御答弁をいただき、ありがとうございました。 大項目1については、しっかりとした計画を立てることで「助かる確率を上げていく」、「減災」を視野に、ぜひお願いいたします。 また、自然災害では、今回の風水害をはじめ地震、津波、土砂災害、高潮・高波など様々ある中でも、富士山の噴火について、今年、17年ぶりにハザードマップが改定されました。この備えについては、火山灰対策などかなり変わってくる点もあるため、これを機に本格的に対策を進めていただくことを要望いたします。 また、大項目2については、「小田原市役所の美術品たち展」の5日間にわたる美術展には、予想以上の来場者があったことから、今後も、多くの市民に作品に触れてもらう機会を具体的につくってもらいたいと思います。このような美術品やNHK大河ドラマ化で沸く北条五代のもの以外にも、小田原市の郷土資料というと幅広くございます。郷土資料を通じてこそ見えてくる小田原の歴史と文化、そういったものであり、将来を担う子供たちに、しっかりと継承していかなければならないという思いがさらに強くなっております。 6月7日の日本経済新聞において、博物館の財政難、人手不足は全国的な課題であり、国は今後、制定から70年続いてきた博物館法を、実態に合わせた改正へ向け、本格的な動きを見せるといった記事がありました。守屋市長が、今年度中に示される第6次小田原市総合計画の中にも、小田原市博物館基本構想をはじめ、小田原の歴史と文化の面を計画にしっかり組み込むことを要望し、私の一般質問を終了いたします。(拍手) ○議長(大川裕君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後2時といたします。     午後1時51分 休憩-----------------------------------     午後2時0分 開議 ○議長(大川裕君) 休憩前に引き続き再開いたします。 12番杉山議員、登壇願います。     〔12番(杉山三郎君)登壇 拍手〕 ◆12番(杉山三郎君) 志民・維新の会の杉山三郎です。コロナ禍の関東地区も梅雨入りとなり、災害も心配されるところであります。 それでは、まず初めに、大項目の1として、コロナ禍での今こそ2市8町合併は必然と思うが、見解を伺います。 私は、2市8町の合併については、定例議会ごとに様々な角度から提言させていただいています。今回も発言させていただきますが、少子高齢化による人口減少と市民ニーズの多様化に伴い、歳入減と歳出増により、もはや経常的経費さえ賄えなくなっている状況であります。 ところで、私は、国府津山丘陵地から望む箱根山、真鶴半島、それに足柄平野と県西地区2市8町には行政境はなく、眼下は一体的な地勢と受け止めております。また、交通事情も、昔は人力車、今はEV車へと移り変わり、情報化にしてもデジタル化が進み、スマートフォン一つで世界に伝わる超スピード化になっています。にもかかわらず、合併は遅々として進まない。行政規模から見ても、近隣都市の藤沢市は人口44万人、職員数約3800人、議員数36名、首長1人。県西地区を見ると、2市8町合わせて人口34万人、職員数4000人、議員数147人、首長10人。あまりにも不合理であることは言うまでもありません。そこで伺います。 (1)として、小田原市の行政改革の現状と財政効果額について伺います。 平成30年(2018年)4月に第2次行政改革実行計画(平成29年度~平成34年度)が策定されました。その内容は、市税をはじめとする歳入の大幅な伸びは期待できないとし、計画期間中6年間の財政効果額の累計は14億5000万円としているが、この現状についての見解を伺います。 次に、(2)として、小田原市・南足柄市「中心市のあり方」に関する任意協議会の合併における財政効果額について伺います。 2市協議の結果によると、事務事業の調整により年間約18億円の削減、合併後10年間の累計で約150億円の財政効果額が見込まれるとなっています。先ほど申し上げた、本市行政改革の計画における財政効果額の累計を1年間で考えてみると、平均約2億4000万円。2市が合併すれば、年間で約18億円の削減となると推計されています。 そこで伺います。2市が合併することにより大きな財政効果額が見込まれるにもかかわらず、なぜ2市8町の合併を検討しないのかを伺います。 次に、(3)として、「世界が憧れるまち"小田原"」を目指すには、箱根町を含む2市8町の合併を図ることが必然と考えるが、見解を伺います。 市長が掲げた「世界が憧れるまち"小田原"」は、私も共感しており、応援するものです。そこで、早期実現のためには、世界有数の観光地である箱根町を含む2市8町と合併した地域こそが一番望ましいと考えます。ぜひ県西地区のリーダーとして、各首長に合併を働きかけてほしいと思いますが、見解を伺います。 大項目の2として、新総合計画の策定について伺います。コロナ禍での大変厳しい状況下で、令和4年度よりスタートさせる新総合計画策定に向けて、全庁的に取り組まれていることと思います。人口減少時代の中、守屋市長は小田原市の将来像を示し、人口20万人都市を実現させ、税収の増加を図り、経済・環境・社会の好循環を生み出すとしています。 そこで、(1)として、人口20万人の実現方策について伺います。 次に、(2)として、2030年の未来都市小田原のまちづくりの構想について伺います。 本市においては、国のSDGs未来都市に選定されたこともあり、最近、未来都市という言葉をよく耳にします。そうした中、トヨタ自動車が静岡県裾野市で進められている、あらゆるものやサービスがつながる未来都市「Woven City(ウーブン・シティ)」が話題になっております。私は、この未来都市という言葉には大きな夢があり、未来への希望を抱くことができます。市民に夢や希望を感じてもらえる、未来都市小田原という新たなまちづくり構想が必要ではないかと思います。 私が考える未来都市小田原は、都市部においては、小田原駅を中心とした市街地において、商業などの都市機能や居住機能等、バランスの取れた活力ある都市を、民間企業と一体となり、未来に向けたまちづくりが、本市が目指すべき方向であると考えます。さらには、今後、市が積極的に推進するデジタル化と融合し、市民が新しいライフスタイルを享受できる都市になるものと確信します。 そこで、小田原駅周辺における都市機能と居住機能の集約化について、どのように考えているのかを伺います。 次に、(3)として、小田原城の高さを基準とした中心市街地の高さ制限の緩和策について伺います。 次に、今、申し上げました私の考える未来都市小田原を目指すに当たっては、小田原駅周辺の建物の高層化が必要であると考えます。しかしながら、小田原駅周辺の商業地域では、平成11年6月の高度地区の都市計画決定により建築物の高さは31メートルに制限されており、建物の高層化が進んでいません。高度地区の決定から10年以上が経過し、市では土地所有者や各種関係団体から土地の高度利用を求める要望書を受け、令和元年12月に、周辺の市街地環境の改善に貢献する建築物については手続を簡略化し、高さの最高限度を45メートルまで緩和する都市計画変更を行いました。このことは建物の高層化の促進につながり、一定の評価はできますが、それでも小田原駅周辺の商業地域では、小田原城天守閣の標高68.3メートルを超える高層建築物の建設はできないため、市街地の活性化に大きな足かせとなっています。そこで、高度地区における制限の撤廃をすべきと思いますが、見解を伺います。 次に、大項目の3として、市民会館解体後の跡地利活用について、(1)として利活用のこれまでの検討状況について伺います。 ①として、平成30年、「三の丸地区の整備構想」を策定しているが、それより以前から当該エリアについて様々な検討をしてきたと思うが、過去の検討状況について伺います。 ②として、「三の丸地区の整備構想」に関して、整備エリア内の地権者である裁判所や検察庁、東京電力、個人の方々などには、市の構想についてどのような説明を行い、その中でどのような意向を示されているのかを伺います。 (2)として、「三の丸地区の整備構想」の今後の進め方について伺います。 ①として、「三の丸地区の整備構想」には短期・中期・長期の整備方針が示されているが、実効性がある構想にするためには、それぞれの具体的なスケジュールを明示する必要があると思うが、「三の丸地区の整備構想」の実施スケジュールについて伺います。 ②として、現市民会館周辺エリアは、小田原城を眺める最大のビューポイントなので、私のイメージとしては、各都市の城下町にある芝生化や植栽をするなど、大手門と一体化したまちづくりにすべきと考えています。短期計画の整備方針には、駐車場の整備が記載されているが、もし駐車場が必要であるということであれば、観光客が利用できる地下駐車場にすべきであると考えます。これらについての御所見をお伺いします。 ③として、天守閣の眺望を阻害している国道1号市民会館前横断歩道橋は撤去すべきと考えるが、そのような動きはあるのかを伺います。 ④として、「三の丸地区の整備構想」を見ると、構想の完成形として、「長期計画の整備後のイメージパース」となっているが、イメージではなく、しっかりと検討を重ね、市民に周知をして、完成図を今から準備を進めるべきと思いますが、お考えを伺います。 大項目の4として、小田原市の地震津波防災対策について伺います。 さきの6月8日の総務常任委員会にて、小田原市津波防災地域づくり推進計画の策定に関する進捗状況について、報告事項として、計画の素案が資料提供されました。想定する地震として、相模トラフ沿いの海溝型地震としてマグニチュード8.7、津波高最大11.9メートルとし、その中に小田原市の津波の特徴が記されております。「津波は、海が深いほど速く伝わる性質があり、沖合いではジェット機に匹敵する速さで伝わります」など、今までにないリアルな報告書になっていると感じました。いずれにしても、国、県、市、地域を含め、総合的に検討されるものと思います。 そこで、(1)として、東日本大震災の教訓と、もし南海トラフ巨大地震が発生した場合の市の津波対策について伺います。 小田原市は関東大震災を経験している地域であり、地震調査研究推進本部の地震発生確率値によれば、30年間に70~80%以上の確率で大地震は来ると言われております。小田原の防災危機意識は世論として、東日本大震災の地震津波から10年を経過したが、重大被害を受けていない市町村においては形式的掛け声を上げているだけで、国の指針を聞きながらやっているにとどまっている。それは、この場所にまさか大津波が来るとは思っていないことである。思っているだろうが、重ねて、まさか津波は来ないであろうという思いがあると言われています。 行政の責任は、人命を守る、財産を守る、そのことが責任であるからして、真逆では済まないわけで、東日本大震災を教訓に、真摯に向かい合って対策を講じなければならないのです。現在の津波対策としては、区域外に避難しろ、避難場所は設置したか、食料確保は区域内に1週間あるか、などなどと市は周知や確認をしているが、私は、大津波による避難は国・県レベルを参照し、地方行政が地域に合った避難方法を策定すべきと思います。そこで、地震においてNHKをはじめとする各報道局が、南海トラフ巨大地震では、高知県に津波が押し寄せた場合の津波の高さを30メートル以上としているが、私の思案として本市においては20メートルと考えます。 私が一番危惧するのは病院であります。病院は、医療機器が損傷した場合は、ただの建物に過ぎないわけで、しかも命に直結しています。東日本大震災はもとより、小田原における津波は、中村川、森戸川、酒匂川、山王川、早川をかなりのスピードで遡上することになります。厳しいことを言いますが、行政当局は20メートル級の津波が来ることを真剣に捉えていないのではないか。東日本大震災は現実になった。河川を遡上する津波は、3メートルで遡上を開始するということを考えなければなりません。 そこで、小田原市内の中規模総合病院の数と位置を示します。現実に20メートル級の津波によって被害を受けない病院は幾つ存在するのか。小田原市に存在する中規模病院は全て街なかにある。それぞれの病院の海抜と、被害を及ぼす河川を述べますと、山近記念総合病院、海抜5メートル、海から距離にして200メートル、森戸川。杏林堂クリニック、海抜5メートル、海から200メートル、酒匂川。小田原循環器病院、海抜10メートル、海から2000メートル、酒匂川・菊川。小林病院、海抜6メートル、海から500メートル、酒匂川及び菊川。小澤病院、海抜6メートル、海から500メートル、酒匂川及び菊川。間中病院、海抜6メートル、海から100メートル、酒匂川・早川。西湘メディカル病院、海抜8メートル、海から1000メートル、酒匂川。小田原市立病院、海抜11メートル、海から1000メートル、山王川。以上、病院の位置と、海からの距離と海抜、及び津波がもたらす影響河川を述べさせていただきました。 このことから、小田原の病院は全て海岸沿線に近いところにあり、小田原循環器病院と小田原市立病院以外は、津波が陸地に入ると3分以内に全て崩壊することになるのです。市立病院は5分、小田原循環器病院でも10分程度で機能崩壊を招くと予測できます。なぜなら、影響河川を示している津波は、河川を時速数十キロのスピードで遡上するからであります。また、小田原の地形は、真鶴半島の突き出しにより津波の遡上影響を大きくすることも知っておくべきかと思います。このことから、津波発生においては、全ての病院は機能停止、崩壊は決定的であります。 そこで伺います。私は、新病院建設について、建設についてはよしとして、ただ、場所については現地再建は反対、丘陵地に建設すべきと言い続けましたが、昨年の12月定例会で基本計画が議決され、今、建設に向けての業者選定の作業中であります。そこで、まだ建設が始まっていないので、まだ間に合うのかなと思い、伺いますが、小田原市立病院は海抜35メートル以上の場所を選定すべきと思いますが、御所見をお伺いします。 また、巨大地震に対する市の対応策についてもお伺いします。 次に、(2)として、地域別避難経路を確立すべきと思うが、見解を伺います。 私の案として述べさせていただきます。地域地域によって避難方法は千差万別で、避難経路のルートづくりをしなければならないと思います。小田原は、地形から見て中央部の津波災害が最も大きいことが推定できる。小田原東部及び西部地区は、津波発生被害は少ないものの、反対に崖崩落を重視することになります。また、道路遮断も想定すべきだと思います。とにかく、小田原市中央部の陸地距離と陸地の高度差を20メートルまで、被害想定地図を至急策定しなければなりません。 次に、小田原市のデータによると、25か所の広域避難所が存在するが、小田原市西部地区を除けばすべて平たん地にあり、これらの位置から5メートル級の津波には対応できるかもしれませんが、10メートル級の津波には対応できません。したがって、小田原市が想定している避難集合は、20メートル級の津波には安全性を担保できないと同時に、被害を甚大にする可能性が大であると思います。東日本大震災でも、グラウンドに集まった子供たちが命を落とした、このことを教訓としなければなりません。高台に避難すれば、多くの貴い命は救えたのではないでしょうか。 以上、私の私案として申し上げました。 そこで伺います。地域別避難経路の確立の必要性について見解を伺います。 次に、(3)として、大津波警報発令時には車両の全通路一方通行にすべきと思うが、見解を伺います。 いわゆる地震において、津波発生時に、まず高台に避難行動する。相模湾に津波が押し寄せた場合、小田原を地形的に見ると、小田原における高台は、大別すると東側から、国府津山から曽我である。まちの中心部は板橋、水之尾、荻窪、西側は風祭、入生田であり、海沿いは根府川地区となっております。小田原の住人であれば、山がどこにあり、どこに避難したらよいかは理解していると思います。私が言いたいことは、大津波警報が発令されたと同時に、全通路一方通行にすることであります。車両は全て、上り勾配方向以外、進んではいけないということです。また、このような行動について、行政施策として将来を考えなければならないことは、それぞれの地域の山間部において、大規模スポーツセンターを造るなど、広域避難場所を行政として考える必要があると思います。そこで私の私案、全通路一方通行の考えに対しての見解を伺います。 次に、大項目の5として、北条五代ドラマ化の実現について伺います。 私は、北条早雲、北条氏綱、氏康、氏政、氏直の北条五代約100年にわたり、関東一円を治めた手腕とその事績は、400年以上の時を超えても、今も語り継がれるべきであり、小田原市の歴史的財産としても大きなものではないかと思っております。領民の安寧を理想とする国づくり、きめ細かな領民への配慮、一族融和、そして北条氏が代々使用した虎朱印「禄寿応穏」に込められた「禄(財産)と寿(生命)が応(まさ)に穏やかに」という意味など、本当にすばらしい領国経営をしていたと思っています。これらの国づくりの手法は現代でも、特にコロナ禍においても参考になるかと深く思い、この事績を、市民のみならず広く知ってもらうべきと考えるに至りました。そこで何点か質問させていただきます。 北条氏の大河ドラマ化については、長きにわたり各方面で尽力されていることは承知しておりますが、現在放映している渋沢栄一を描いた「青天を衝け」、来年の「鎌倉殿の13人」、再来年の「どうする家康」と決まってしまっておりますが、この次こそはと誘致に向けて取り組んでいただき、ぜひとも北条五代の事績を広めていただきたいと思っております。 そこで、(1)として、大河ドラマ化に向けた現在までの取組状況についてお伺いいたします。 次に、(2)として、大河ドラマに採用されるには市民からの応援、地元の盛り上げが重要だと考えます。昨年12月から始めている大河ドラマ化への署名活動について、市民などから署名がどのくらい集まっているのかをお伺いします。 また、署名活動のように、引き続き誘致活動は必要と考えておりますが、今後はどのような取組を行う予定なのかを伺います。 私はこの4月に、前神奈川県知事・現参議院議員・松沢成文氏の新書「北条五代、奇跡の100年」出版記念講演会を拝聴いたしました。そこでは、北条早雲から氏綱、氏康、氏政、氏直と続く北条五代の治世について分かりやすい説明をされており、北条五代の偉業を改めて認識するよい機会となりました。その際に話されていた「北条氏の治世は、危機を乗り越えながらも民衆を大切にした地方自治のお手本ともいうべき善政の100年だった」との指摘に、これはまさに時代を超えて現在にも生きる考え方であると強く思った次第です。北条五代の事績を広く知っていただくには、こうした機会を設けることは非常に有効であり、多くの市民に郷土の偉人を再認識してもらうとともに、大河ドラマ化への後押しにもなると思った次第です。 そこで、(3)として、誘致活動の一つとして、松沢氏のような著名人の力をお借りして、講演会を開催することについてどのように考えているのかを伺います。 次に、大項目の6として、コロナ禍の本市の生活困窮者支援についてお伺いします。 まず、(1)として、本市における生活困窮者の実態把握についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の拡大を抑制するため、昨年4月に緊急事態宣言が発令され、本年1月には二度目の緊急事態宣言、また本市につきましては、この6月1日に新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の対象区域となりました。この間、飲食業や観光関連業をはじめとする様々な業種で、休業や時短営業が要請され、地域経済に影響が及んでおります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えるために、休業や時短営業といった一定の措置が、必要なことではあると理解していますが、最終的には、パートやアルバイトで生計を維持してきた方々にしわ寄せが行き、生活に困窮する市民が増えているのではないかと、私は大変危惧しております。そこで、コロナ禍における本市の生活困窮者の状況をどのように捉えているのかを伺います。 また、生活に困窮する方の増加を抑えるためには、地域経済を好循環させる必要がある。そのためには、一日も早い収束を目指して、できるだけ多くの方に新型コロナウイルスワクチンの接種を受けていただくことが鍵となると考えます。そこで、本市の新型コロナウイルスワクチン接種の進捗状況をお伺いします。 次に、(2)として、困窮者緊急専用ダイヤルの設置についてお伺いします。 生活に困窮している方々の中には、誰に相談したらいいのか分からず、不安や悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。そこで、生活困窮者からの相談を受け付けるコールセンターのような、困窮者緊急専用ダイヤルを設置してはどうかと考えます。見解を伺います。 以上で登壇しての質問を終わります。 ○議長(大川裕君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 12番杉山議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、本市の行財政改革の現状について質問がございました。本市の行財政改革は、第2次小田原市行政改革指針に基づき、平成29年度から令和4年度までを計画期間とした実行計画を中心に取り組んでおります。計画期間内の財政効果額の目標を14.5億円としており、これまで住民窓口の再編や職員住居手当の見直し、補助金・負担金の見直しなどに取り組んでまいりました。引き続き、計画に位置づいている取組に限らず、さらなる行財政改革を全庁を挙げて進めてまいります。 次に、2市8町の合併について質問がございました。合併は、最大の行財政改革となり得ることは御指摘のとおりでございますが、これまでの県西地域合併検討会や南足柄市との2市協議などの検討の経緯や、各市町の考え方に差異があることなどを勘案すると、現時点では合併にかじを切る状況にはないと考えております。 次に、「世界が憧れるまち"小田原"」の実現のため、2市8町の合併を推進すべきとの御質問がございました。「世界が憧れるまち"小田原"」は、本市が目指す将来像として掲げたものであり、世界的にも歴史や文化、自然、交通アクセス等に恵まれた本市は、その実現に足るポテンシャルを有していると考えます。一方で、自治体間の合併については、ただいま御答弁申し上げたとおり、現時点では本市から働きかける考えはございませんが、地域の持続的な発展と課題解決に向けては、広域的な取組も必要であることから、引き続き広域連携も推進しながら、「世界が憧れるまち"小田原"」の実現を目指してまいります。 次に、人口20万人の実現方策について質問がございました。コロナ禍において、豊かな自然環境や交通至便性などの高いポテンシャルを有する小田原が改めて注目されており、本市の人口は、この1年ほど社会増の傾向にございます。新総合計画においては、2030ロードマップに示したまちづくりの考え方をベースに、多様化する価値観を的確に捉えながら、住んでいる方が暮らし続けたいと思う施策とともに、小田原に住みたいと思う方を増やし、受け入れていく施策をまとめ上げてまいります。人口20万人規模の都市は、高い目標であると認識しておりますが、こうした施策を総動員して、その実現を目指してまいります。 次に、小田原駅周辺における都市機能と居住の集約化について質問がございました。平成31年に策定いたしました立地適正化計画において、小田原駅周辺は、商業や公共公益施設をはじめとする高度な都市機能の集約・誘導のほか、街なか居住の促進を図ることとしております。その実現のため、都市構造再編集中支援事業を活用し、民間医療施設や図書館などを、また優良建築物等整備事業により、通称新幹線ビルやオービックビルの建て替えを誘導してきたところであります。これら民間再開発への支援に加え、既存ストックの利活用を図ることで、都市機能と居住の集約化を促進してまいります。 次に、高度地区における制限について質問がございました。この制限は、中高層建築物の立地による生活環境や景観の悪化などを懸念する多数の意見を受け、12回にも及ぶ市民や関係団体等との意見交換を行った上で、平成17年6月に都市計画決定し、その後、天守閣の標高未満とする制限を平成18年10月に追加した経緯がございます。この制度を運用する中で、令和元年12月に、一定の条件を満たす建築物についての緩和措置を講じたところであり、現時点においてはこの運用を続けていくものと考えております。 次に、三の丸地区における過去の検討状況について質問がございました。平成元年に、神奈川県及び本市の関係各課が参画した「小田原市本町周辺地区活力あるまちづくり促進調査・研究会」が設置され、本町地区の再生・活性化の方策について調査研究が行われました。また、平成20年11月に設置した小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会におきまして、三の丸地区の整備について、その実現の可能性や細部の検証が行われ、これを受けて市では、平成21年に「三の丸地区における周遊拠点の整備方針」を示したところでございます。なお、平成30年に策定した「三の丸地区の整備構想」は、この平成21年の整備方針を基本に検討した上で、取りまとめたものとなっております。 次に、「三の丸地区の整備構想」のエリア内の地権者の意向について質問がございました。構想の策定時には、構想エリア内の地権者に説明に伺いましたが、その際の反応から、整備に向けた考え方や方向性については、おおむね御理解をいただけたものと考えておりますが、今後、具体的な整備に動き出す際には、改めて説明をして、しっかりと御理解をいただいた上で取組を進める必要があるものと考えております。 次に、「三の丸地区の整備構想」の具体的なスケジュールについて質問がございました。構想の短期計画については、市民ホール整備を契機としていることから、今後5年程度を計画期間と考えておりますが、中期・長期計画につきましては、構想エリア内の国有地や民有地など、地権者のそれぞれの事情もあることから、現時点で明確な時期を示すことは困難です。今後、地権者と調整等が整い、整備のめどが立った際には、その実施スケジュールを示してまいります。 次に、天守閣への眺望について質問がございました。「三の丸地区の整備構想」の中の「整備の方向性」では、「国道1号から天守閣を望むエリアは、眺望を確保する」としており、現市民会館周辺エリアは平面利用することを基本に考えております。また、構想の短期計画の中の「整備の方針」では、「観光バスの乗降場や駐車場、広場等の整備をはじめ、城跡に相応しい活用を検討する」としておりますが、その後の状況の変化などを踏まえ、今年度、整備機能を再検討する予定であり、駐車場の必要性についても改めて検討をいたします。 次に、市民会館前の横断歩道橋について質問がございました。このことにつきましては、平成30年の幸地区からの要望を契機に、歩道橋を撤去し横断歩道を新設する方向で、関係機関及び地元関係者と協議を進めてまいりました。しかしながら、令和元年に滋賀県大津市で発生した交通事故により、交差点における歩行者の安全確保が全国的な課題となったため、新たな対策案を示せるまで協議を中断することといたしました。その後、令和3年4月に、道路の調査研究を行う日本道路協会から、交差点の安全対策に関する指針が示されましたので、国道管理者が作成する対策案を基に慎重に議論してまいります。 次に、「三の丸地区の整備構想」の完成図について質問がございました。構想では、短期・中期・長期計画それぞれの整備後のイメージパースを掲載しておりますが、これは、その後の社会情勢や行財政の状況変化等に応じて、随時見直しを行うことを視野に入れていたことから、完成図ではなくイメージパースとしたものでございます。構想の短期計画に相当する部分につきましては、今年度作成する市民会館跡地等の活用計画において、導入する機能や施設規模等を示す予定であり、中期・長期計画につきましても、今後、具体的な整備を進める段階でお示しをしてまいります。 次に、新病院の建設場所について質問がございました。新病院の建設場所は、本市の津波被害が最大とされる相模トラフ沿いの海溝型地震の津波浸水想定図において、津波による浸水は想定されておりません。その上で、患者や医療従事者のアクセス、救急車による患者搬送の迅速性、ヘリポートの設置要件への適合などを踏まえ、現地で建設することとして、市議会にお認めいただき、看護師宿舎の解体や事業者選定に着手をしたところでございます。 次に、巨大地震に対する本市の対応について質問がございました。東日本大震災を受けて、発生確率にかかわらず、想定し得る最大限の津波に対して、本市における津波防災地域づくり推進計画を策定しており、その中で避難等の教訓を生かすこととしております。南海トラフ巨大地震につきましては、対象とする影響範囲が広く、被害が甚大化するおそれはあるものの、津波に関する本市への影響は住居地域までの到達は見込まれていないため、対応については、大きな揺れによる被害を中心に、地域防災計画に基づき関係機関との対応や住民避難に当たることとなっております。 次に、地域別避難経路について質問がございました。災害時の避難経路につきましては、住居の場所によって注意すべき災害の種類や、避難場所までの経路上の障害物も異なり、また、住居の構造や世帯員の身体状況もそれぞれ異なることから、市では「わが家の避難行動マニュアル」を全世帯に配布し、世帯ごとに避難の経路を想定しておいていただくことを推奨しております。しかしながら、世帯によっては隣近所の助けがないと避難が困難な場合もあり、また、一つの世帯だけでは気づかなかったような避難上の課題に気づくようなことも考えられますので、防災教室のような場も活用し、地域ぐるみで状況に応じた避難を検討するような活動も支援してまいります。 次に、津波警報発令時の車両の一方通行について質問がございました。東日本大震災では、津波発生時に車両避難をしようとしたことで渋滞が発生し、多くの命が失われました。これを受けて、津波避難に関しては、徒歩避難を原則とすることが国などから広く普及されているところでございます。この考えを受けまして、本市においても津波避難については徒歩を原則とする考え方を持っており、車両の一方通行に関しての検討は行っておりません。 次に、大河ドラマ化に向けた取組状況について質問がございました。大河ドラマ化への取組といたしましては、平成13年から北条早雲ゆかりの5市町によりNHKへの要望活動等を行ってきており、平成23年からは、北条氏ゆかりの14市町で組織した北条五代観光推進協議会を中心に、イベントやパンフレット等を活用しながら、北条氏の様々な偉業や魅力を発信してきております。また、北条氏の事績を改めて検証し、地域の魅力向上と活性化につなげるため、平成30年から2か年にわたり北条早雲公顕彰五百年事業を実施し、イベントやセミナーの開催、書籍の発行等を行い、大河ドラマ化への機運を高めてまいりました。 次に、市民からの署名活動の状況及び今後の取組内容について質問がございました。署名活動につきましては、令和2年12月末から開始をいたしましたが、令和3年5月末現在で、市民1932人に署名をいただいており、北条ゆかりの14市町全体では1万人を超えております。今後は御指摘のとおり、市民からの応援やゆかりの市町全体での盛り上げが重要と考えていることから、SNSなどを活用した情報発信や署名活動を積極的に行い、機運を高め、大河ドラマ化を実現したいと考えております。 次に、著名人による講演会の開催について質問がございました。北条早雲公顕彰五百年事業におきまして、数回にわたり著名人や歴史学者などを招いて講演会を行ったところ、市内外から多くの方が集まり、大変好評でございました。現在は、コロナ禍の影響により従来のような講演会は難しいため、小田原城の歴史等を学べる動画配信を考えております。専門家や著名人などによる講演会は、北条五代や小田原の歴史等を知ってもらうためのきっかけとなり、大河ドラマ化の実現にも有効であると考えられるので、実施方法を含め、開催に向けて検討してまいります。 次に、コロナ禍における生活困窮者の状況について質問がございました。市民の皆様から、「休業で収入が減少し、生活が苦しい」、「家賃が払えない」、「就職先が決まらない」といった相談が寄せられているほか、社会福祉協議会による生活福祉資金特例貸付の申請件数も増加傾向になるなど、厳しい状況にあると認識しております。こうした中、国では、生活福祉資金の特例貸付や住居確保給付金の再支給の申請期間を延長するなど、生活困窮者への追加支援を打ち出しており、市といたしましてもこうした制度の周知を図るなど、しっかりと取り組んでまいります。 次に、ワクチン接種の進捗状況について質問がございました。本市では、本年3月に医療従事者等の接種を開始し、次いで、クラスター防止等の観点から、高齢者分のワクチンが供給されるようになった4月下旬に、高齢者入所施設の接種を開始いたしました。施設入所者以外の高齢者につきましては、5月に国からワクチンの供給見込みが示されたため、予定を前倒しして同月25日に市立病院で、6月上旬には診療所等の各医療機関で接種を開始いたしました。現在の進捗といたしましては、6月16日時点で、医療従事者等約7800人の接種はほぼ終了しており、高齢者は約1万5000人の方が1回目の接種を受けており、順調に進んでおります。 次に、困窮者緊急専用ダイヤルの設置について質問がございました。生活に困窮している方からの相談につきましては、市の相談支援員や小田原市社会福祉協議会の福祉まるごと相談事業の支援員が幅広く受け止めております。さらに、民生委員や地域包括支援センター等の関係機関とも連携を図り、支援につながるよう努めているところでございます。こうしたことから、御提案のあった困窮者緊急専用ダイヤルを設置する考えはございませんが、引き続き、必要な方に必要な支援が届くよう、しっかりと対応してまいります。 以上をもちまして、12番杉山議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◆12番(杉山三郎君) 一定の答弁をいただきまして、ありがとうございます。それでは再質問を行います。 まず2市8町合併なのですけれども、毎回毎回質問させていただきまして、現時点では考えていないと。私は、この今の社会情勢、経済、そして多くのメリットがあるこの状況下で、合併はやはり必然だと考えます。これは市民の皆様のためにも、要するに財源を確保するという観点から、行政改革をするという観点から、やはり2市8町合併は前向きに考えていただきたいと。市長は、今の時点では考えていないと言うのですけれども、これから2市8町合併について、どのようにお考えなのかをお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 この地域は様々な歴史があって、いろいろな行政区域を越えて取り組んできております。それは、長い歴史の中を遡ってもそうですし、最近のことについても、例えば環境の問題であるとか防災の問題であるとか、いろいろな意味で広域的な連携をしているという状況にございます。そして、先ほども御答弁させていただきましたように、行財政改革ということに関して効果があるということは十分認識しております。しかし、合併というのは行財政改革の効果だけを目的として進めるべきものではなくて、様々な複合的な要因の中で進めるものだというふうに考えております。そして、本市においてはこれまでも、いろいろな合併の協議をしてきた経緯もございまして、そういった状況を踏まえると、現時点で2市8町の合併を推進していく考えはないということでございます。 以上です。 ◆12番(杉山三郎君) よく分かりますけれども、今まで歴代、この問題に対して前向きに捉えた方がいないから、ぜひ守屋市長には前向きに捉えて、考えてやっていただきたいと、これはお願いします。 それで、新総合計画ですけれど、私はもう、50年街なかに住んでいまして、何とか小田原のまちを活性化しよう、その願いで一生懸命議員もやらせていただいていますけれども、守屋市長は、今の小田原の現状とこれから総合計画をやる小田原、小田原を中心市街地だけ考えると、どういうイメージでまちづくりを進めたいと思いますか。それをお伺いします。 ◎市長(守屋輝彦君) 新総合計画、まさに今、改定の作業をしているところでございます。この計画の到達年度、計画期間は、ロードマップでも掲げた2030年、つまり10年後、そこに「世界が憧れるまち」をつくっていこうということでございます。今の御質問は、特に中心市街地においてどうしていくかということでございます。小田原の中心市街地の特徴というのは、小田原駅があって、多くの都市は駅を中心として成り立っています。そしてまた、城下町というのは、歴史を遡ればもちろんお城が中心で様々なまちづくりが行われていた。全国的な城下町で見ると、今の中心地である駅と、昔の城下町であるお城というのは、ちょっと離れているというのが、多くの城下町で見られる。ところが小田原市は、現実的に駅とお城というのは非常に近い関係にある。これは全国の城下町でもなかなか珍しい状況だというふうに思います。逆に言うと、だからこそ小田原駅を降りて、すぐにこの城下町の風情が感じられて、そして、少し歩けばお堀に出ることができて、そして登城することもできるということ。私は、この中心市街地を活性化していく上では、お城の存在というのは大変大きなものがあると思います。 一方で、まちというのは常にどんどんどんどんアップデートしていく、成長していくという。成長というのは、何も高層ビルがにょきにょきできるものが成長というものではなくて、しっかりとした成長管理の基に、都市がやはり改めて新陳代謝をしながら、育っていくということも考えられるので、そういったことを含めて、先ほどお話しした働く場所も、やはり駅前には必要ですし、そして住むところ、そして様々な日常を楽しむところ、そういうものが複合されたものが、やはり、この小田原の中心市街地として目指すべき都市像であるかなと考えております。 以上です。 ◆12番(杉山三郎君) ありがとうございます。この議論は、また議会ごとにやらせていただきます。 それで、時間がありませんので、地震津波防災対策について、なぜ今頃、新市立病院のことを言うかというと、今後30年以内に発生確率が70~80%とされる南海トラフ巨大地震が起き、東日本大震災をはるかに上回る被害が想定される報道を最近耳にいたしまして、今までの津波の概念を変える必要があると、私は、私の持論を言わせていただきました。小田原の主要病院は海岸沿線にあることなどを踏まえ、市立病院は建設に向けて進んでおりますが、今の時点でしたら、まだ丘陵地へ移転できるのかなと。そういう思いで今回質問したわけでございまして、市長の答弁を聞くと、粛々と計画に従ってやるということでありますので、もし一言、その地震に関しての、そういう私の願いに対しての所見をお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 東日本大震災があって、私たちは様々な教訓をここから得たわけで、それを今の災害対策に生かしているということです。その中で、やはり想定外を想定せよと。当時想定していなかったけれども、やはり想定していないことが起こるのだということを、今想定しているわけです。ただ、想定外を想定するということと、想定外の想定を外れたところをさらに想定するということは、これはなかなか現実的には難しいところでございまして、やはり想定外の想定というのも、ある意味、時間がたって見れば、それは想定の範囲になるわけです。12番杉山議員がおっしゃるように、では、それを既存の想定としたら、もっとそれ以外の想定もあるかもしれないという、この確率論としてはあるのだというふうに思いますが、ただ、現実的にその想定が、今のところで示されていないというふうになると、やはりそこは、今の想定の中で対策を進めていくべきものなのかなというふうに思います。 もちろん水害対策は、この津波だけではなくて、市立病院は久野川、山王川に隣接しているということもあって、ではこの川が氾濫したらどうなるのかということはもちろん、これはやはり想定するリスクとして考えなければなりませんけれども、そこは、場所で工夫をする、高台に移転することによって、それを回避するということももちろん有効な選択肢ですけれども、河川の氾濫については、これもある意味、想定する浸水深のリスクがありますので、そこはしっかり踏まえた上で、ここは少し、設計上の工夫として対応できる部分もあろうかというふうに思いますので、そういったことも念頭に置きながら、しっかりと計画を進めていきたいと思っております。 以上です。 ◆12番(杉山三郎君) ありがとうございます。現時点では津波は想定されていないということで。でも、想定外というのがありますので、今後いろいろな状況下において、検討されるべきときが来れば、またそのときでいろいろな検討がなされると思いますけれども、十分津波に対しては、機械室もいろいろありますから、その位置にしてもいろいろ考える必要があると思います。そういうことで、ひとつよろしくお願いいたします。 以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(大川裕君) 以上で本日予定しておりました一般質問は全て終了しましたので、明日18日午前10時から続行することにいたします。 なお、改めて再開の御通知をいたしませんので、御承知おきください。 それでは、本日はこれをもって散会いたします。     午後2時55分 散会...